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矛盾の中で見つけた美しいものってのは本当に美しい。
その美しいものはただ単に綺麗というわけではない。
それこそ汚くて、歪んでいて、卑怯で、惨めで、生々しい、そんなものを持っていた。
それでいて美しくて、だからこそ美しかった。
「え〜とね」
何か変化が欲しくて歩きまわってた時にその人に会った。
「そうそう。会社の先輩と遊んでたら先輩の女友達に会って、その女友達と一緒にいたんだ」
こっちに軽く会釈をして一度、目が合った後はずっと道路を見てた。
「その人の目がね、怒ってるよぅな悩んでるよぅな感じだった。それで印象に残ってたんだよね」
その日夢に出てきた。
「その人って?」
「えっと、その人ってのは女友達と一緒にいた人の方」
「…あいこ。愛子って名前。愛子さん」
「え?あたし?」
口を半開きで少し驚いてる。目が茶色い。
「うん。」
病室独特の匂いと、恥ずかしさと、…かわいさで気を失いそうになった。
馬鹿だ俺。
「やっぱこの話今度にしない?」
苦笑いの俺。
「しない」
意地悪な笑顔の愛子さん。
「だよね。話します」
やっぱり馬鹿だ俺。
ずっと会いたかった。
あの日は何もしなくても汗が出る程に暑かった。
「その一ヶ月後くらいに、さっきの先輩とそん時会った女友達が人数集めて遊ぶ事になって、そこに愛子さんもいた」
「八人くらい集まった」
「多いな」
「なんか先輩が張り切りすぎて人集め過ぎたみたい」
最初先輩の話では愛子さんも来るかも。だった。
集合場所に着いた時、愛子さんがいた。
嬉しかった。
「軽く自己紹介して、みんなで小さい遊園地行って遊んでたんだ」
「そこでみんなテンション上がってあっちこっち行くから途中からバラバラになる事があって、そこで初めて話かけた」
ずっと二人になれる隙を探してた。
「一人でアイスを買おとしてるとこ見つけてね」
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