駄文
□ハンドクリーム
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『ハンドクリーム』
リョ桜お付き合い設定
日差しは暖かいのに吹き抜ける風はまだ冷たい春のある日。
学年末ということで教師陣は来年の新入生のことや今年度の処理などに大忙し。
今年度最後のテストも終え、生徒たちはその解放感を全力で満喫していた。
時折うっすらと振る雪のせいでグラウンドはぐちゃぐちゃ。
それに加え顧問の教師が忙しくて部活に顔を出せなかったりすることが多いせいか、この時期は部活動がお休みになることも多々あった。
今日は午前授業、教師たちが長時間の会議のためどの部活も本日はお休み。
すでに授業は終わり校内にはほとんど生徒がいなかった。
ほとんどいないということは少しはいるわけで…。
そのうちの一人、越前リョーマは自分のクラスにいた。
なにやら必死にプリントを解いている模様…。
「もうちょっとで終わりだよ!」
彼が座る席の向かいには長いおさげの女の子がエールを送っている。
彼が猛スピードで解いているプリントは英語。
帰国子女の彼がこのプリントを猛スピードで解いている訳。
それは単純に先日渡されたこのプリントたちの提出日が今日だということをすっかり忘れていたから。
どうせすぐに終わるだろうとあと回しにしていたところ忘れたのだ。
本日中に提出なので今こうして頑張っているのだが理由はそれだけではない。
今日は目の前の少女桜乃と放課後デートの約束をしていたのだ。
午前授業で鞄は軽いのでそのまま一緒に昼食を食べたりと計画していたけれど…。
プリントは簡単でも量が多い。
桜乃は励ましてくれるが、正直まだ終わりそうになかった。
リョーマが大きく息を吐く。
同時にペンの動きも止まり、桜乃は首を傾げた。
「あのさ、やっぱり今日やめにしない?」
「ふぇ!?なんで?」
「俺、まだ終わんないし、あんた腹空かないの?」
「空くけど、リョーマくんとお昼一緒に食べる約束してるから」
「ん。でも、まだ結構待たせるから、帰って昼飯食ったほうがいいんじゃない?」
そんな、と項垂れる桜乃にリョーマは唇を噛んだ。
「け、けど、今日の約束やめにするまでしなくても…」
「わかった、コレ終わったら迎えに行くから家で昼飯食って待ってて」
「リョーマくんのお昼ご飯は?」
「俺は別に…」
言葉を濁したリョーマに桜乃はムッと唇を尖らせた。
「私だけ食べるなんてやだよ」
「俺は大丈夫だから」
「私だって大丈夫だもん。だからここでリョーマくんのプリントが終るまで待ってるよ」
「いいって、いつおわるかわかんないし」
「私が待ってたいの!」
「いいから帰んなって」
互いにまったく譲らない。
自分を思って言ってくれているのはわかるのに素直に受け入れるなんてできなくて。
目も合わせないままの沈黙。
リョーマのため息。
シャープペンシルを掴む。
教室にはカリカリとリョーマのペンの音だけが響くようになった。
桜乃は気まずい空気に耐えられず身動ぎ。
ふと視線落とした先にあったのは小刻みに動く彼の左手。
長い指。
筋ばったいかにも男の子らしい手。
飾り気のないシャープペンシルを握るその手は遠目でみてもかさついている。
桜乃はカバンから小さなポーチをとりだし中からハンドクリームを見つけると無言でリョーマに突きつけた。
「なに?」
「ハンドクリーム」
「見ればわかるけど」
「うん」
いつもは自分のほうが言葉が少なくて桜乃を困らせるのに本日は逆。
リョーマが困る番だった。
「コレ、どうしろって?」
「使って」
「いや、大丈夫だし」
「ダメ」
先ほどといい変なところは頑固だとリョーマが顔を顰める。
改めて自分の手を見ると確かに薄皮が剥がれかけたり乾燥しているが気にはなからかった。
多少肌が突っ張る気がするだけだ。
半ば押し付けられるようにハンドクリームを受け取る。
蓋を開けると甘い匂いがした。
「コレ何の匂い?」
「これはリンゴだよ。いつもはイチゴなんだけどたまにはいいかなって」
「ふーん」
チューブから出るピンクのクリーム。
手の甲にのせ両手に馴染ませる。
「あ、」
「え?」
「ヤバ…」
手を擦り合わせながらリョーマが辺りを見回す。
「どうかしたの?」
「…出しすぎた」
普段使わないせいか、如何せん量がわからない。
何となくで出してみた結果、手はテカテカ。
これでは乾くのにどれほど時間がかかるのやら。
「待ってて、今ティッシュ出すから」
桜乃がハンドクリームが入っていたポーチを漁る。
目的の物はすぐに見つかったようだ。
可愛らしいキャラクターのプリントがされているポケットティッシュ。
パリッと音がしてティッシュの袋同様可愛らしいキャラクターがうっすら描かれるティッシュペーパー。
リョーマは目の前に晒されたそのティッシュペーパーを受けとるのにかなり抵抗がある模様。
「リョーマくん、はい!」
笑顔で渡されてもね。
俺がこんな可愛いティッシュで手を拭くとか、ギリギリアウトな気がする…。
「もう、それじゃシャープペン持てないよ」
「まぁ、そうなんだけどさ…」
いっそ気長に待つことにしようかと思い始めたころ。
ティッシュペーパーを持ったままの桜乃の手を見た。
小さくて細くて爪はちゃんと手入れされている。
「え?リョーマくん!?」
おもむろに桜乃に手首を掴んだ。
桜乃が驚きティッシュを放したのをいいことに指を絡める。
なんとか抵抗しようとあげられたもう片方の手も捕まえて。
机を挟んでいる二人。
立っている桜乃と座っているリョーマ。
リョーマは桜乃を見つめながら桜乃の両手を包み込む。
絡めて、揉んで、自分とは違う柔らかな肉を楽しんだ。
手のひらを親指でやんわり撫でて、指の付け根を軽く押す。
指先は挟んで爪は磨くように指の腹で撫でる。
きゅっと目を瞑ってピクピクと耐える彼女を見つめる。
解放してやれば、桜乃の瞳にはうっすらと涙の膜が張られていた。
「どうだった?ハンドクリームのオスソワケ」
このあとしばらくは顔を埋めてしゃがみこむ女の子と黙々とプリントを解く男の子の光景が続いたらしい…。
○●○●○●○●○●○●○●
久しぶりの更新がこれって←
ちまちま書いてるリョーマ生誕記念の小説は長くてまだupできなさそうなので息抜きに書いてみました←←
相変わらず何が書きたかったのやら…( ̄▽ ̄;)
キャラクターのプリントされたティッシュって可愛いですよねww
六個くらいまとまって売ってたと思いますww
私が持ってたときは小学生でしたがリラッ○マとモノク○ブーを集めてました(≧m≦)
桜乃ちゃんはいつまでもそんな可愛いポケットティッシュを持っていそう♪
このあときっと桜乃ちゃんはリョーマくんの課題が終るまで待っていて遅い昼食を二人でとると!
一昨日映画の二人のサムライをみてリョーマボルテージが上がったまんまですww
早く完全版も漫画も揃えたいのにお金が…orz
次の給料日まで我慢我慢!
2012.03/27