駄文

□Children's Day
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「今日はな、家に帰ったら柏餅食べてべこ餅食べて…」

「堀尾くんの家も?ウチもなんだよね」

「僕の家はお母さんが…」


昼休み、カチローとカツオはリョーマたちのクラスにやって来て何やら盛り上がっている。


「リョーマくんは?」

「何が?」

「リョーマくんのお家は今日どうするの?」


どうするのって言われても…


「さっきから何の話してるわけ?」


「「「へ?」」」


3人の目が点になる。

何…


「何言ってるのリョーマくん!今日はこどもの日だよ!?」

「…何ソレ」

「越前はアメリカ育ちだからなぁ…。知らなくても無理ないか」


堀尾の言い方にバカにされてる気がしてムカつく。


「別に、キョーミないし」

席を立ち教室を出る。


「リョーマくん!?どこいくの?」

「トイレ」


短く答えてスタスタ歩く。
向かう先はトイレでなく屋上。
昼寝でもしてよ…
















































「それでは15分の休憩に入る。遅れた者は校庭20周!!」


手塚の言葉を合図に皆が散り散りになる。
そんな中リョーマが向かうのは水飲み場。

水を飲むのともうひとつ。


「…ご…ろく…しち…はち、ぁあ!」


壁に弾かれたボールが転がりリョーマの靴に行く手を阻まれ止まった。
リョーマはそれを広いあげる。


「あ!!りょ、リョーマくん」


リョーマを確認した途端赤く染まる頬。
きゅっとラケットを抱き締めてちらちらと窺う。


「あんた壁打ちいつになったら二桁いくわけ?」

「はぅ」


ボールを桜乃に投げて渡すとあわあわと受け取り今度はラケットを落としてしまう。


「フォームもまだ甘いし、そんな弱々しい球じゃ自分のところにたどり着かないから」

「そ、そうだけどぉ」


「もう一回」

「へ?」

「だからもう一回やって」

「は、はい!」


すでに日常となりつつある桜乃のコーチ。
フォームは改善されつつあるのに結果がついてこないのはきっと桜乃の運動神経が壊滅的だからだろう。


「ラケット、もう少し下持って」

「はい」

「肘曲げすぎ」

「はい」

「肩に力入りすぎ」

「はい」

「髪の毛長すぎ」


「はい、…じゃなくて、それは関係ないよリョーマくん」

「あ、ヤベ、そろそろ休憩終わりじゃん」

「ありがとリョーマくん!」

「ん」


身を翻しコートに向かうと遠慮がちにかかる声。


「リョーマくん!!」

「何?」


前を向いたまま、歩くのもやめない。


「あの、あの、部活終わったら待ってていいですか!!」


震えた声にどんなに緊張してたかが伝わって

それ言うだけで?
なんて思うけど。


「勝手にすれば」


素っ気ない言葉にも


「ありがとう!」


なんて嬉しそうな言葉が返ってきて

俺、お礼言われることしてないし。




























全国レベルの青学男子テニス部は部活の時間はいつも学校が許す時間ギリギリまで。
体力があるレギュラー陣も毎日ヘトヘトだった。


「っしゃおわったあ!早く返って夕飯だ夕飯!」

「桃ん家も今日は特別?」

「当たり前っすよ英二先輩!」


「今日はこどもの日だからね。そういえばさ、練習してるときから気になってたんだけど」


不二の視線をたどってリョーマもソレを見た。


「立派なこいのぼりだにゃぁ」

「一番下の深緑のちっさいやつは越前みたいだなぁ!!」


学校の近くの家。
その家にはコートからでもわかるくらい大きなこいのぼりが風に揺られていた。


「何スかあの魚みたいなヤツ。ずいぶんいっぱいくっついてるスけど」


少しの間。


「…越前、お前こいのぼりを知らねぇのかよ!?」

「うそぉ!!」

「まぁ彼は今までアメリカにいたんだし知らなくても不思議じゃないよ」


昼休みと似た会話。


「そっかぁオチビ知らないのかぁ…。あのね、こいのぼりはこどもの日にぃ」

「英二先輩ちょっと待った!!」

「なんだよ桃ぉ!せっかく俺がオチビに日本の文化を教えてやろうとしたのにぃ〜」

「ふふっ、ごめんね英二。僕も桃に賛成。越前、さっきから待ってるみたいだよ彼女」


不二が指差したのは部室から少し離れたところをうろうろするおさげの少女。


「なるほどぉ!オチビも隅におけないにゃ」

あ、忘れてた。


リョーマの呟きに一同が鋭くリョーマを睨んだ。


「オチビひっでぇ、早く行けってば!!」

「女の子を待たせちゃいけねぇな、いけねぇよ」

「越前、君、女の子を何だと思ってるの?桜乃ちゃんを泣かせたら…、わかってるよね?」


最後の先輩は珍しく開眼しちゃったりして、威圧感ヤバイんだけど。


「うぃーす」


逃げるようにリョーマは桜乃のもとに向かった。































「リョーマくん!!お疲れ様」

「ん」

「ごめんね、待ってて」

「別に」

「リョーマくん先輩達と帰りたかったでしょ?」


「別に」


ほんとに何であんたはそんな自分を下に見てるわけ?
俺そんなあんたのこときらいじゃないし、たまに一緒に帰ったりしてもいいとか思うのに。



「あ、あのね。こ、こ、これ渡したくて!!」


真っ赤な桜乃が俯きながら渡したのは紙袋。
中には箱が入っていて。
箱を見ればわかる。
中身はきっとケーキだ。

ケーキの箱は大抵持てるとこついてるしその下にフィルム越しに見えたから。



「いいの?」

「あのね、リョーマくんのために作ったんだ」


受けとれば彼女はホントに嬉しそうで


「開けていい?」

「うん!」


紙袋から丁寧に出すと竜崎が紙袋を受け取ってくれて。
箱を開けてケーキがのる白いプレートをひきあらわれたのが


長方形のスポンジに挟まれた生クリームとイチゴ。
表面には真っ白なクリームが塗ってあって。

その上の丸いチョコレートの上には白いチョコレートが乗っていて、これが目。
スライスされたいちごが綺麗に並べてあって、鱗のよう。


これはさっきみたアレにそっくりだ。


「…こいのぼり」

「よかったぁ、リョーマくんにつたわらなかったらどうしようって思ってたの!」


両手をぱちんと叩いてニコニコ笑う彼女。


「これ、あんた作ったの?」

「うん!!スポンジはおばあちゃんに手伝ってもらったけど」


おばあちゃんって…
先生かよ…。


「…うまそ」

「ほんと?やったぁ」


丁寧に箱にしまって、桜乃から紙袋をうけとりまたまた丁寧に入れる。


「最近暖かいから悪くならないか心配だったけどおばあちゃんが職員室の冷蔵庫を使ったらいいって!!待ってる間は保冷材あるから」

「竜崎にしてはやるじゃん」

「へへっ」

「あんたこーゆーのは得意なんだ」

「そうなのかな?」


以前もらったケーキもなかなか美味だったことを思い出す。


「じゃあリョーマくん、また明日ね」


そう言って駆け出した彼女の手を掴む。

は?

ほんとにこれだけ渡して帰るつもりだったの?


「リョーマくん?」

「送る」

「ふぇ?そ、そんな悪いよ!!」

「こんなうまそうなケーキもらってバイバイとか、俺そんな鬼じゃないから」


せめて送るくらいさせて欲しい。
こんな時間まで待たせたのもあるし。



「ほら、行くよ」

「うん!!」






「あのさ」

珍しく俺からの話題。
それは彼女の家の前で。

聞きたかったけどタイミング掴めなかったし。
竜崎は「そ」とか「ふーん」とか適当に相槌うつだけの俺にすごく楽しそうに話すから。


「何?リョーマくん」

「なんで俺にケーキくれたわけ?」


「今日はこどもの日だから」


ニコリと笑う彼女に不覚にもときめいて。


「…そうだけどさ」


あぁ、自分でも何が言いたかったのかわからなくなってくる。


「リョーマくん、ずっとアメリカにいたからこどもの日知らないんじゃないかなって」

「ん」


竜崎の言葉は俺が聞きたかった答えで。
口下手な俺の意思を汲み取ってくれたのかな、なんて。


「日本ではね、こどもの日って端午の節句とも言って男の子が主役なの。女の子は3月の雛祭り、桃の節句をお祝いするんだよ。リョーマくん男の子なのに今日のこと知らなくてお祝いできなかったら嫌だから…」


語尾に近づくにつれてだんだん声が小さくなる。

要はあんたは俺を祝ってくれたってコト。


っとに、あんたって。


桜乃はもごもごとしゃべり続ける。
その桜乃の三つ編みを引っ付かんでくいっと引くと。



「Thanks Ryuzaki」

「っぁ、」



「また明日」

「はい」




さて、親父に食われる前にこのケーキを食べなくては。




おしまい
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
リョ桜小説第2段(^^)
だだだだーん!
初々しいリョ桜で!
桜乃ちゃん作のケーキのモチーフは私のバイト先のこどもの日ケーキです!!
鱗はいちごじゃなかったけどww

因みに帰宅したリョーマは南次郎パパたちに盛大に祝ってもらってます!

食後の桜乃ちゃんケーキはリョーマが死守します!
もちろん南次郎パパはフォークを持って襲いかかりますがカルピンがリョーマのために果敢にも南次郎を押さえるという!!
長々と(ページ分けろよ
ありがとうございました!!

題名Children's Dayはまんまの意味でこどもの日
 

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