駄文

□君へのキモチ
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「やあ」


相変わらず間抜けな声だな。

でも、そんな声に僕のココロは踊った。


「今日は何の用だ?それともただの暇潰しか?」

「またそんなこと言って!!ほんとは嬉しいくせに」

「っ、君はつくづくおめでたい頭の持ち主だな」


一瞬、ココロを見透かされたような気分になり言葉に詰まる。

そして出てくるのは皮肉。


「はい、これ後藤さんが」


そう言って彼女が差し出したのは甘い香りがする袋。

たぶん中身はケーキといったところか


「なぜこれを君が?」

「さっき後藤さんに会って、こないだの事件の解決のお礼でもらったから八雲君に渡しといてって」


正直、こないだの事件と言われても心当たりがありすぎてどの事件かはわからないがもらっとくとしよう。

箱を開ければ中身はやはりケーキ。


「美味しそう…」

「君も、食べる、か?」


我ながらなんてぎこちない聞き方だ。

彼女がきょとんとしてるじゃないか!

もっと自然な誘い方があったはずた!!


「ぁあ…、ごめん!せっかく誘ってくれたのに今日はこれから予定あって、もう行かなくちゃ」


最後にまたごめんね、と言いながら彼女は扉の向こうへ行ってしまった。
別にそこまでショックなわけではない。

ただ、いろんなケーキがあってさすがに一人では食べきれるか怪しかったから誘ってみただけだ。


「このタルト、好きそうだな…」


いちごやラズベリー、ブルーベリー、クランベリーがたくさん乗ったタルト。

なんとなくそのタルトとその他数個を箱に入れたままにして冷蔵庫にしまう。


どのケーキもとても美味しい。

でも、なんだか物足りない。

何度もため息を吐いた。

君へのオモイは

きっと

likeじゃ足りないな

ガチャン


勢いよく開いたドアに身体が跳ねた!



「聞いてよ八雲君!」

「なんで君が?」

「美樹ったら合コンじゃないとか言ってたくせに結局遊びに行ったら男の子いてたのよ!!」


たぶん、恋

だって君がやって来ただけでこんなにも心臓が煩い


「うるさい、近所迷惑だ。愚痴なら聞いてやるから、とりあえず糖分とって落ち着け」

「あ、さっきのケーキだ!!八雲君、今日はなんだか優しいね」

「僕はいつでも優しい」

「このタルト美味しそう!!」

「やっぱりな」


このキモチを

恋を自覚したら

いつもより君が可愛く見えた

fin

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