駄文
□DEAR YOU
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後藤は八雲の家であるお寺に来ていた。
昨日、急に一心に来るように言われたのだった。
石井も連れ入る。
「邪魔するぜ」
「邪魔だと思うなら帰ってください」
居間には仏頂面の八雲と楽しげな一心と奈緒がいた。
「八雲もいたのか」
「ここは僕の家です」
えらく不機嫌な八雲を軽く諭し、一心が後藤と石井に座るように促す。
全員が席についたところで一心が切り出した。
「明日は何の日かわかるかい?」
ニコニコと嬉しそうな奈緒や八雲は答えを知っているのだろう。一心は後藤と石井に問いかけた。
「明日?何かの事件か?」
後藤が聞くと一心はため息をつき石井を見る。
少し小馬鹿にしたようなところが八雲にそっくりだ。
「明日…」
石井も結局も何も思い浮かばず、一心の答えを待った。
「明日は晴香ちゃんの誕生日なのだよ」
ぱちぱちと奈緒が拍手し石井の目も輝いた。
みんなが盛り上がる中で、八雲だけは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「だからみんなでお祝いしよいじゃないか。晴香ちゃんにはいつもお世話になってることだし」
一段と柔らかい笑みで一心が言った。
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