short Dream

□小さな面倒大きな幸せ
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「…次はそこに事件の内容を」

「ここですか?」

「あぁ」










小さな面倒大きな幸せ










今日もオレは彼女の付き添いを頼まれていた

付き添うと言ってもそれはパンドラ内の話で

もちろん仕事関係だ

新人の中でも一際努力を怠らない彼女を上は見逃さなかった

そこで彼女を任されたのがオレだったのだ

最初は何故オレなんだと不平不満も言っていたが…

「書けたか?」

「はい!」

彼女の書いた書類にさっと目を通す

隣に座る彼女は書類を見るオレを真剣に見ていた

「…………よし、完璧だ」

「ふぅー…」

合格だと伝えた途端、彼女は安堵したかのように大きな息を吐いた

「今日はこれで終わりだ これはオレが出しておくから」

「はい!ありがとうございます」

二人揃って席を立つ

外は既に真っ暗だ

「書類の書き方にも慣れてきたみたいだな」

「おかげさまで」

こうやってニコッと笑う彼女の姿を見るたび正直ドキッとさせられていた

一緒にいることも増え、彼女を知っていく

頑張る姿

真剣な眼差し

そして時々見せる笑顔

「なんなんだろうな…この気持ち」

「え?」

「自分のことなのに全くわからない」

「??」

この気持ちがなんなのか

気付くのはもっと先のことだと思っていた

でもそれは案外早いもので

彼女がオレを頼る必要がなくなって

オレから離れて行ったそのとき

オレはこの気持ちが恋なのだと気付くのだった

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