long novel
□#1 REASON
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今から10年前ほど前
オレはベザリウス家の使用人をやめ、貴族の仲間入りを果たした
仲間入りと言ってもそれは決して嬉しいものではなく、来る日も来る日もあの成人の儀でのことが心残りで仕方なかった
忘れてしまいたいが
忘れるわけにはいかないこの真実
オズがいない世の中
本当に耐え難い日々が何日も何日も続いた
何度も泣いた
何度も逃げ出そうと思った
それでもナイトレイ家に留まったのは
オズは必ず助かるという不確かな確信と
ブレイクとの出会い
それから……
誰よりもわかってたつもりだった
必要としてくれる人がいなくなって初めて感じる空虚感も、1人でいる辛さも
それなのにオレは
オレを思ってくれていた人の気も知らずに自分勝手に生きてきた
気付いたときにはもう遅くて
自分がしてきたことに怖くなった
#1 REASON