短編中編
□心内表裏
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現実的に有り得ないと思っていたが、日常的に起きてしまえば非日常も当たり前になってしまう
だが未だに到底信じがたい事だと認識している
次元を跨いで別人格と入れ替わるなど
恐らく周囲の人間に言えば、頭のイカれた可哀相な人間だと指を指されて嗤われるのがオチなので話した事は無い
しかしだ、本当にこの入れ代わりが継続すればいずれ戦いに巻き込まれるだろう
何故なら私が入れ代わっている人物は、物語の主要キャラ…
「ハヅキ!はよーっす」
この野郎、人がシリアスに脳内モノローグ流してる時に
『おはよーさん』
「何やテンション低ない?生理か?」
『アホか、テンション下げたんお前や。そしてあと一週間は来ーへんわ』
「マジか」
と、あたしのモノローグを邪魔…中断させたのは友人だ
勿論訳の分からない二重人格については話していない
「そや、今日バッティングセンター行くんやっけ?」
『は?何、野球でもやるん?』
「え?アンタ昨日言っとったやん、しかも東京弁で!一人称も俺になるからホンマビビったでーまぁアンタが漫画とか影響受け易いんは知っとるから何も言わへんかったけど」
アイツ、演技もせんと素で喋りよったな
これまでずっと入れ代わったん気付かれへん様に辻褄合わせとったあたしの苦労を返せ
直接言える訳やあらへんけど
『ま、気分によっては行くかも知れん。ストレス発散にな』
「ふむ、筋肉痛は気をつけーよ」
たまにコイツが淡泊に思える
まぁ今日の所は、周期に乱れが無ければ午後には向こうと入れ代わるはず
次元を飛び越えたあたしの別人格、山本武
ど、どうしよう…!
俺沢田綱吉は現在進行形で焦ってる
廊下のタイルの継ぎ目に躓いて転ぶなんてダメっぷりを披露したのは置いといて、問題はその瞬間にリボーンが撃った特殊弾が山本に当たった事で
「ホントどうすんだよリボーン!今回ばかりは洒落になんないぞ!」
「新開発の特殊弾は効果を考えりゃ死なねー設計だぞ、そのうち目を覚ますはずだ」
「悠長な事言ってらんないって!」
そもそもぶっつけで試そうとするなよ!
そんなやり取りをしていると、山本が意識を戻したみたいだ
「良かった、気が付いた!」
「ほらな」
言った通りだろとドヤ顔するリボーンはスルーしとこう
『ったー…階段から落ちるとか有り得な…何やねん』
「あ、あれ?」
山本、別に階段歩いて無かったよね
「えっと…大丈夫?山本」
『あ?』
「!?」
何か黒い!って言うか柄悪い!例えるなら獄寺君並…
『え、あれ、嘘やろなんで居るのっつか時間早』
「何の話!?」
「特殊弾の効果みてーだな。別人格を引き出すんだ」
「どういうことだよリボーン」
『(特殊弾…それで強制的に入れ代わったんか。通りでいつもより時間早いねんな)』
「そのままの意味だ。今表に出てるのが山本の別人格みてーだな」
『何ちゅーモン作っとんじゃ貴様ら…』
「俺は関わってないよ!っていうか、山本が関西弁で喋ってるとかすごい新鮮…」
『知らん。つーかジブン?名前ちゃうし。ハヅキ、ついでに女や』
「えぇー!?」
「うるせーぞツナ。ところでお前、今回が初めてじゃなさそうだな」
『あ、やっぱバレる?実際何度かコイツと入れ代わってんねん、違和感無いよーに演技しとったけどもう面倒くさーてな』
「そうだったの!?全然気付かなかった」
『(超直感が笑かすな)』
「ハヅキ、どこまで知ってるんだ?」
『…読心術はズルない?まぁえーけど、大体は知っとるで。言うつもりはあらへんけど』
「そうか」
何となく不思議な感じだ
「君達、何の群れ?」
「ヒ、ヒバリさん!?」
『出た…』
「ちゃおっす」
「赤ん坊か、群れを作って騒がせるなら咬み殺すよ」
『最早名台詞やな』
この人恐れ知らず!
「何か言った?」
『いやその台詞な、様になっとるからえーけど大分痛いコやなーと』
「…君、何そのいつにも増して変な喋り方、ムカつく」
『変…やと』
黒いオーラを纏ったハヅキさんがヒバリさんに詰め寄った
えっまさか
『関西弁のどこが変やねん!むしろそっちの東京弁のが意味分からんわ!標準語ゆーて地方民見下したような態度しよっておのれら!』
この人方言馬鹿にされたの怒ってるだけ!?
あのヒバリさんもきょとんとしちゃってるよ!
ブツブツ言って後引いてるし…
「…彼どうしたの」
「えっ、いやその…」
「特殊弾の効力で別人格を引き出したんだぞ」
「ふーん」
一言で終わらせた!
「何か気分じゃなくなったから帰る」
ハヅキさんがヒバリさんのやる気を削いでくれたみたいだ。多分自覚無いだろうけど…咬み殺されなくて良かったー
『ってあ、何や雲雀帰ったん。ちゃんと話したかったんやけどなー』
「勇者!?」
「お前、おもしれーな」
リボーンに気に入られてるし!
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