短編中編

□for you pure like
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夏も本番に差し掛かる、終業式当日
3年に上がるとめっきり補習も減った2人と成績泥棒1人を捕まえて一つの計画を持ち掛けた

『バンド組んでくれねーか?』

「「バンド?」」

「はぁ?なんだいきなり」

1人だけやけに嫌そうな顔をしているのはこの際スルーだ

『学園祭でやりてぇんだ。この夏休み中に合わせられれば万々歳、綱吉も今年は補習減ったろ?』

「まぁ…横暴な家庭教師が居座ってるおかげで」

「だからってなんでバンドになるんだよ」

『青春だろ?』

「良いんじゃねーか?面白そうだし、俺は良いぜ」

軽い調子で承諾する山本は本気でノリで何とかしてくれそうだ

「バンドねぇ…難しくなければやってもいいかな。期間そんなに無いし」

『まじか!サンキュー!獄寺はどうなん』

「10代目がやるってんなら俺もやるぜ」

『んじゃ決まりな!それぞれ担当の楽器はもう決めてんだ』

「まさか俺達がやるって言うの前提?」

『もち』

ポケットからちょっとしたメモ用紙を引っ張り出す

『まず綱吉は、軽音の中でも簡単なベースだ。使う音はそんな多くないはずだからな』

「へぇー」

『で、山本にはギター頼む
ちょっと難しいかもしれないけど…』

「オッケー、まぁ練習すりゃ何とかなるだろ!」

『そんで獄寺が、バンドの命ドラムだ』

「わーった。やるからには手は抜かねぇ」

役割分担はそのくらいと思いきや

『あと、山本と獄寺はもう一個楽器やってもらいたい』

「何だ?」

『ピアノ』

一瞬空気が凍った気がした

「…確か獄寺君」

「いや、昔の話っスよ」

『何、獄寺経験者?見掛けによらず』

「てめ、どういう意味だ!」

『えっピアニスト系男子ってかっけくね?』

そう言ってやると満更でもなさ気にそっぽ向いた

『んじゃピアノは獄寺で、その曲ん時は山本がドラムな』

「おう」

「っておい、ピアノ入るのにドラム要る曲なんてあんのかよ」

『あるある。今から曲渡すからな、聴きまくれ』

PCからダビングした3曲とそのオフボーカルをそれぞれ入れたCDを渡す
布製のCDカバーに本体と一緒に曲目の歌詞カード(お手製)も入れてある

「つか、お前がボーカルかよ」

『文句あるか?既に全曲覚えてる分色々準備すっから』

「そう言えばリツって地味に歌上手かったっけ」

「ハハッこん中じゃ適任だな」

『それ以前にな、俺が歌わなきゃ意味ねぇんだ』

さっきまでとは打って変わって真面目な表情を作る

「そういや、なんで急にバンドやろうって思ったんだ?」

『それな、ホントは去年の学園祭でやりたかったんだ、それこそノリだけで…けどお前ら忙しそうだったからさ』

「ああそれで…確かに去年はいろいろあったからなぁ」

嵐のような日々を送っていた

『んで今年やろうって思った訳。それに俺の大告白聞いてたのお前らだけだろ?だから他の奴には頼めなくてさ』

「えってことはまさか」

『そのまさか!』

「お前…回りくどい事してんじゃねぇよ!」

「リツでもそういう手使うのな」

察しのいい3人だ。2人は呆れ、1人は関心する所がズレている

「でもさ、これやるとしても体育館でしょ?3人の人気で人がかなり来ると思うけど、そんな所にわざわざ来るかな」

『3人?ああ、獄寺と山本と綱吉か』

「えっ違う!俺じゃなくてリツ」

『何の冗談だ?』

「そうっスよ10代目!こいつに人気なんてねぇ」

「おい獄寺、それは言い過ぎじゃね?」

「じゃなくて!結局人集まるのにどうやって雲雀さん呼ぶの」

人込み嫌いの雲雀なら暴れるのは目に見える事だ

『あー…何とかなるだろ!』

「負傷者出てからじゃ遅いんだって…」

『でもさ、アイツも最近商店街歩いても大人しいぜ?』

それが人通りが多い時間帯でも

「そうなの?リツの影響力かな…」

「その調子なら本番も大丈夫かもな」

一つの心配事が少しだけ晴れた
そしてその日は各々曲を聞き込む為に解散した

リツは軽音部と交渉して余っているエレキギターとベースを借りる事に成功した
ドラムは数が少ないので、活動日と相談して交代制で使わせて貰えることに

こうして4人の音楽に精を出す一夏が始まった





(あ、獄寺君。今日はドラム使える日だっけ)
(はい!一応家の鍋で自主錬はしてますが、やっぱ本物とは勝手が違うんで)
(大変そうだね…俺は家だとチビ達がうるさくて集中できないんだよね)
(おっツナ、獄寺!2人も今から学校か?)
(山本も?)
(ああ、一回ちょっと合わせてみてーなって)
(けっ)
(おーおー3人ともお揃いで)
(リツまで!)
(ちょっくら採寸させてもらおうと思って)
(は?採寸?)
(バンドTシャツ作るからな!)
(ありがち!)
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