短編中編

□きっかけは罰ゲーム
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放課後に集まってちょっとしたカードゲームで暇を潰していた

「んー、こっち!」

『あー!』

引き抜かれたのは2枚あるうちのスペードの3、手元に残ったのは人を小馬鹿にした顔が描かれたジョーカー
何をしていたかは一目瞭然、ただのババ抜きである
妙に引きが悪かったせいでリツは負けた訳だ

『嘘だー、絶対綱吉には勝てると思ったのに!』

「うーん、超直感?」

『使い方おかしいだろ!』

「んじゃ、ビリの華藤には罰ゲームだな」

「今回はなんだろうなー」

1人幾つか罰ゲームを紙に書き、毎回一つ選択して内容を伏せたままゲームをして順位を決める
ビリは公開された罰ゲームを実行すると言うルールでやっていた
因みに過去3回の内訳はリツが2、山本が1だ

『4戦中3回とか今日運悪過ぎだ…』

ぼやいてるうちに、罰ゲームの内容を確認した獄寺が吹き出した

「獄寺君!?何だったの?」

「これは傑作っすよ10代目」

「何々…気になってる人に愛の告白!?」

『あっ俺が書いたやつ』

「おまっ自分で仕掛けた罠に引っ掛かってんじゃねーか!」

「獄寺お前、笑い過ぎじゃね?でもまぁ面白そうなのな」

「っていうか、ベタだよなこういうの」

『セオリーだろ?まぁルールだからやるけど、お前ら多分ビビるぞ』

意味深に笑ってから携帯を引っ張り出す

『電話で良いよな』

「相手の名前はちゃんと言えよ!ついでにスピーカーだからな」

「掛けたフリ出来ないようにね」

『わーってるってーの』

スピーカーの音量を上げるとリツ以外にもコール音が聞こえる
そして通話に出る音

【…なに】

『あ、もしもし恭弥?』

「「!?」」

「まさかヒバリに?」

【何の用?僕は今忙しいんだけど】

『悪ィ、手短に…ってか、一度しか言わねぇからよく聞いてくれ』

【は?】

『俺恭弥が好きだ。以上』

そのまま返答待たずに通話を切った

「マジで言いやがった」

「これだと逆にヒバリさんの反応も見たかったな」

『お前らが見てるのバレたら絶対殴られるだろうな』

「けどよ、ヒバリって冗談分かる方か?」

『えっ冗談とかこれっぽっちもねーけど』

「「は?」」

「…つまり、どういう事だ」

何とも微妙な空気が流れた瞬間、教室の引き戸が思いっ切り開かれた

「リツ!さっきの電話はどういうこと?」

余程テンパっていたのか
息を切らしている辺り廊下を走ったようだ

『よくここが分かったな恭弥』

「いつもここで群れてるんでしょ。それより、どういう事か説明しなよ」

リツのネクタイを掴んで睨み上げる雲雀
しかしただでさえ身長差があり、若干頬を上気させて睨まれても上目遣いにしか見えない

『あー…罰ゲームで、ちょっと。あとその顔可愛いだけだぞ』

「…ふざけないでくれる?」

ふざけているつもりでも嘘でも無いのだが、と考えたあと一つの妙案が降って来た
この際いつもの面子がいる前でも構わないだろう

『じゃあ、一回だけマジな事言って良いか?』

「…何」

掴まれていたネクタイを少し整え、雲雀の肩に手を置いた

『恭弥、結婚しよう』

空気が死んだ

「え…、は!?な、何言ってるの?」

思考が追い付いた瞬間赤面した

『何って、マジな話?』

「ば…、かじゃないの。…もう帰る」

『え、ちょ…おい恭弥!』

俯いたまま帰られ、表情も分からず終いだ

「何だ?ありゃあ…」

「さぁ…っていうか、ヒバリさんにも照れるってあるんだ」

「つーか、華藤の台詞の選択おかしいだろ!
いくら脈アリだったとしても引かれるぞ」

『意外だな、獄寺はそっち方面否定的だと思ってた』

「あ、それ俺も思ったぜ」

「それはこの際ほっとけ!」

「それより、リツは返事聞かなくて良いの?」

本人が冗談のつもりは無いと言っていたからには行く末は気になるものだ

『何だ綱吉、パパラッチか?』

「違うけど!普通気になるじゃん、友達の恋愛事情とか。ね、山本」

「あー、確かにな」

『お前が言うか!?一番色恋沙汰に疎そうなお前が言うか山本!』

「野球馬鹿は野球が恋人みたいなモンだろ」

「つーより相棒だな」

「どっちでも良いから!リツもはぐらかして無いで返事聞きに行けって」

『へいへい。ったくー、お前は俺のとーちゃんか』

「こんな子供いたらグレるだろ」

溜め息を吐きながら教室を出ると、迷わず応接室に向かった

「さて、追いかけようか」

「何かスパイごっこみてーだな」

「それを言うなら探偵だろ」

本気モードの3人にかかれば気配を消す事は造作もなかった





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