短編中編

□桜の下で、
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例の桜の下に、人の気配を感じた

「――――…」

思わず立ち尽くし、息を呑んだ

そこに居たのは、2年探し続けた彼女だった


ハヅキは眠っていた
安らかな表情で、消え入りそうに

「…ハヅキ……」

色白の頬を撫でると、ハヅキは静かに目を覚ました

『リボーン………』

ハヅキは穏やかに微笑む

『ありがとう…待っててくれて…』

「…ああ」

短く返事をし、自分より一回り小さい肩を抱き締めた

「おかえり、ハヅキ」

『うん…ただいま!』

2年前まで自分達が言っていた言葉が反転した
目が合うと、自然と笑みが零れた

『リボーン』

「何だ?」

『もう、どこにも行かないから…だから…』

「ハヅキ」

彼女の言葉を遮り

「あの時、渡せなかった…」

ある物を差し出した

『…きれい…』

紅く光るガーネットを散りばめたエンゲージリング

「また、俺と暮らしてくれるか?…今度はずっと…一緒に」

『はい! …喜んで!』

今の彼女は、正に満分咲の笑顔を讃えていた



初めて出逢った桜の木の下で、二人の想いは更に深まった

凛と咲き続ける桜に


永遠を誓う―――





end
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