セントビナーに来たばかりの時のミュウ
チーグルの森から出たことの無いミュウにとってセントビナーの街は初めて訪れた人間の土地
神託の盾に追われている身とはいえ、まだまだ子供のミュウはいささかはしゃぎすぎてしまった
その結果
「みゅ〜、皆さん何処へ行ってしまったんですの〜」
聖獣と言えどもチーグルは魔物、一匹でふらふらしていれば当然奇異の目で見られるわけで
「みゅっ!?」
いつの間にか周りに人が居なくなってしまった
「みゅ〜僕、一人ぼっちですの〜」
また一人になってしまった悲しみと勝手な行動を取ってしまった自分の愚かさから、ボロボロと大粒の涙が零れる
それからとぼとぼと目立たないように街の外れを歩いていると、急に目線が高くなった
「みゅ!!」
上を見上げれば金髪に青い瞳の青年がほっとした顔で微笑んでいた
「大丈夫かミュウ、みんな心配したんだぞ」
「ガイさん!」
「泣くなって、もう大丈夫だから」
「ごめんなさいですの!ごめんなさいですのー!」
小さな体でぎゅうっと抱きついて、思いっきり謝った。みんなの所へ帰った後もずっと謝って謝って泣いて、また謝って
優しさ、嫌み、呆れ、色々な感情が含まれた言葉が頭の上で飛び交う。でもミュウはそれがとても嬉しかった。自分はとても心配されていたのだ、と感じることが出来たから
「皆さん、ありがとうですのっ。ありがとうですのっ」
僕は幸せですの!
(おわり)