企画

□マルコ×夜
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私はひとり果ての見えない闇の中を必死に走りつづけていた

(待って!嫌だ…っ、嫌だ!私を……置いて行か…ない、でっ……!ひと、りはっ…いや、だ…っ!)


ハッと目をあけると見慣れた天井が目に入った

また、だ
またこの夢…
みんなが闇に飲まれていく夢
必死に走って精一杯手をのばしても届かない
大切な人たちが次々消えて独りぼっちになる夢

「はぁ、はぁ……っ」

心臓が異常なくらい鼓動を刻んでいた
心臓の音がうるさい
手には汗をかいていて、前髪は額に張り付いているだろう
嫌な汗がどんどん噴き出している

「大丈夫かい?」

耳元から声がして誰かに頭を撫でられていることに気がついた

「マル、…コ?」

名前を呟くとあぁ、と声が落ちてきて、私が上半身を起こすのを手伝ってくれる

「またあの夢を見たのかい?」

マルコの大きな手が優しく
ぽん、ぽん、ぽん、
と背中を一定のリズムで撫でてくれる
コクンと頷くと、そうかい、と言ってマルコの誇りが刻まれた逞しい胸に引き寄せられた
とくん、とくん、とくんー
耳に届く穏やかな心臓の音が大きな安心を与えてくれる
そこから伝わる温度はこれ以上ないくらい心地よくて、先ほどまで感じていた気持ち悪さが体から抜けていくのがわかった
「マルコ…なん、で…」
ゆっくりマルコの腕の中から離れると優しい目に私が映った

「なんとなく、お前が泣いてる気がしたんだよい」

温かい手が頬をそっと包み込み、ゆっくりと近付いてきたマルコの唇が目尻に浮かぶ涙をさらっていった

「大丈夫だよい、オレ達はいなくなったりしない。お前を独りぼっちになんかしないよい」

目を見てはっきり言われた力強い言葉に笑いながら泣いてしまった





(ありがとう)

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また暗い話になり…かけ?セーフですか?
エスパーなマルコでした

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