きらめく恋

□16)スキー初心者
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「クククッ…」


「だから、笑うなァー!」



あぁ、神様すっかり忘れてました。赤砂は人一倍Sで鬼畜だと言うことを……、



あれから赤砂にスキーの滑り方を教えてもらって特訓中。さっきよりは長く滑ることができたけど、やはり最後は転ける。赤砂はそれを見て笑う。



最早、私が転けるのを間近で見て、バカにしたいが為に『教える』って言ったんじゃないかと、疑ってしまう。



未だにケラケラ笑っている赤砂をじとーっとした目で見つめたら『何だよ』と、笑ったためにできた涙目で見つめ返された。



「…笑いすぎ」


「悪ィ悪ィ…ククッ、」


「絶対悪いと思ってないでしょ」


「思ってるって」


「目が笑ってる!」


「これはアレだ…、生まれつき」


「嘘つけ!赤砂はもっと目が鋭い!」



赤砂に指を差して、猛抗議。そんなことしてる間も、またバランスを崩して転ける。もう私、スキー向いてないのかも…、



何だかそんなに笑われると、スキーへの意欲もなくなって凹んでくる。マジで。一人ベンチのとこで座って、しょんぼりしてると赤砂がまたやって来た。



「また笑い者にしに来たの?」


「違ェよ」


「じゃあ何?」


「お前がいじけてたから、気になっただけだ」


「ほぼ赤砂のせいだけどね」


「なら、一緒に滑るか」


「ほぇ?」



意味が分からないと言わん顔で赤砂を見ていると、何かを察したのか『そのまんまの意味だ』と言って、私の手を掴んで引っ張った。



そして赤砂は私を前に来させ、腰を掴む。何だかこの体勢恥ずかしいんですけど!



一人ほんのり頬を赤らめていたら急に滑り始めた。それもものすごい速さで。しかも私が前だから余計に怖くて目を瞑ってしまう。



目を瞑った方が余計に怖いんだけど。前が見えないから。



「あーかーすーなァー!!止めてェー!!速い速い速い!怖いぃいいぃいい!!!」


「何が怖いことがあんだよ」


「だって…!はや…、速いもん!」



若干涙目になりながら赤砂に講義すると、『しょうがねェな』と言って滑るのを止めてくれた。その間も私の胸は恐怖でドックンドックン鳴っている。



「本当、可愛いな。お前」


「え」



いきなり優しく微笑まれて、放たれた言葉。ストレートに言われたもんだから、何だか頬が熱くなる。合わせていた目線を私から反らした。



すると、腕を引かれて赤砂の方に倒れていくのが分かる。少しも経たないうちに私は赤砂の腕の中にいた。



「ちょっと…、」



『離してよ』そう言おうとしたが、呆気なく終わった。私の唇に感じる温かい感触。それは前にも感じたことがある温もり。私は赤砂に何度目かのキスをされていた。










(拒めないのは)
(慣れてしまったから?)
(それとも…、)



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