□歩道橋の上で
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もう太陽が傾きかけ、ビルの後ろに隠れようとしている今、夕暮れ。



なのに俺は歩道橋の上で動く事なく、沈んでいく夕陽を眺めていた。



その夕陽から目線を少し下げるとそこには橋の袂(たもと)で、綺麗な茶色い髪をたなびかせている女が一人。



周りの景色は朱色に染まりつつあるのに、その女だけは自分の色を持っていた。



とても美しい女性。



俺はこの女を知っている。
昨日も一昨日もそこに居た。
橋の袂でずっと川を見つめていた。



悲しそうな顔でずっと……。



話かけたくても、話かけられない。いつもの俺なら、何も考えずに絡んでいた。



でも、今回は違う。
どう言い訳つけて絡もうか、どう話かけたら悲しい顔をしないで笑ってくれるか…。余計な事を考えちまう。



そう思ったら、改めて自分の臆病さに気づく。ただ笑ってほしいだけ、ただ幸せになってほしいと願えば願う程、臆病さが増す。



そして、今日も歩道橋の上から彼女を見つめている事しか出来なかった。





歩道橋の上で

END.
 

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