暁
□白黒の世界
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「別れよう」
「……え?」
冷たい風が吹くこの季節はもう冬。
学校の周りに植えてある木々の葉も枯れて、殺風景。
色などない。
ただの白黒の世界。
そんな場所に彼氏である赤砂サソリが私を呼び出した。
何の用かと思えばいきなりの別れ話。
頭の思考回路が回らず、呆然とする。
「俺たち、やっぱ無理だわ…」
「……なん…で?」
「上手くいかねぇつーか…、飽きた、お前のこと」
「……っ」
"じゃあな"って言って私に背を向けて歩き出す。
止める事など出来ない。
出来る筈がない。
そんな勇気を私が持っているわけがないのだから。
一人、校庭で佇む。
今までは何とも思ってなかったこの冬の景色も、
憎らしく思えた。
白黒の世界
END.
→あとがき