どりーむ
□ほっとけない
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※裏無し
『日吉のバカ、私にはルーがいるからもういいよ』
「そのルーはお前のために料理を作ってくれるのか?」
『……その代わり癒しをくれるもん』
「じゃあルーとやらは毎朝お前が遅刻しないように起こしてくれるのか? 」
『ルーは、日吉がくれた大事なぬいぐるみだもん』
「…答えになってない」
ぎゅっとクマのぬいぐるみを抱き抱えて涙目な彼女はとてつも無く可愛い。可愛いというか、絵になってる。俺が彼女に似合うと思ってあげたぬいぐるみなのだから当然かもしれないが、まるで俺を抱き締めるようにルーと名付けられたぬいぐるみを抱き締めるのは反則だ。
『もし、もしも日吉が私の目の前から消えちゃっても私は生きてける』
「どんな自信があってそんな事言えるんだ」
内心ショックを受けながら彼女の発した言葉の意味を一瞬考える。正直彼女はバカだ。学校も不登校気味でおまけに不器用。家事なんて壊滅的。そんな彼女と付き合うなんて、死ぬほどめんどくさい。それなのに、何故か俺は彼女がほっとけない。
『だって、ルーが日吉の代わりになってくれるから。ご飯が食べれなくても、ルーが居てくれるだけで幸せなの』
「そんな自虐的な幸せなんて望むな」
『じゃあ、一生私の傍にいてね』
一生傍にいる。それは一種のプロポーズだろうか? 彼女はどんな気持ちを持って俺にそんな願いを託したのか。やっぱりよく分からない。だけど、そんな彼女が俺はとてつもなく好きで、これからもたぶん俺は彼女の事をほっとけないんだろうな。
ほっとけない
091222.