その他
□散り行く願い
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何故、何故貴方はそんなにも儚いのでしょうか。病で未来が見えないから?そんな、そんなものでは絶対にない。
「もう夜だね。今日も生きられた」
「.....何言ってるんです沖田さん。明日も、明後日もずっと生きるんです」
「うーん自信ないなぁ」
はは、と微笑む沖田さん。それは、悲しみを押さえた苦笑いでもちゃかした笑みでもない。
本当に、純粋に笑っていた。それがどんなに辛いことか、どんなに私を悲しませるか知っていますか?
もっと悲しんで。
まだ生きたいと、泣き喚いて。声が枯れるほど叫んで泣いて欲しい。
「沖田さん、」
「ん、何?」
「沖田さん、」
「だからなーに?」
「沖田、さん」
「.......生きてるよ」
「まだ、君の隣で生きてる。僕だってそう簡単には死んでやらないよ」
そう言って、沖田さんは頬笑んだ。彼の手が私の頬を優しく撫でる。そんな仕草でさえも儚くて愛おしい。
沖田さん、
沖田さん、
沖田さん、
沖田さん、
沖田さん、
心の中で何回も叫ぶ。だって声にしてしまったら彼が余計笑うから。優しい沖田さん。そんな彼が死病だなんて未だに信じられない。
大好きで大好きで
愛してて
それでも私は何も出来ない。
神様、
聞いていますか。
そもそも神様、
だなんていらっしゃるのでしょうか。
どうか、
どうか私から、この世から
沖田さんを奪って行かないで。
散り行く願い
そんな願いも儚く散る運命だなんてこの時私は信じてなかった。
101102.