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□証(アカシ)
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「見ろよ!今年もすごいぜ!」





クリスマスを明日に控え

魔法によって大広間にあらわれた大きなもみの木に

クリスマスの飾りつけがされている。









「わあ、今年もきれいに飾られてるね。」




「本当。」



「もうホグワーツに来て二回目のクリスマスかあ!」


ハリー、ロン、私の3人はその広間の装飾に見とれていた。




「今年も楽しみだね。」


ハリーに笑顔を向けられて
私は一瞬躊躇ったが
気持ちとは正反対の笑顔で答えた。


「ええ、本当に。」



クリスマスを目前にして

私は去年のクリスマスを思い出して

正直、複雑な心境だった。












去年のクリスマス、

ロンとハリーはプレゼントでもらったお揃いのセーターを着て私の前にあらわれた。






「君たちそのセーターどうしたの?」


ネビルが私の代わりに質問すると、すかさずハリーが笑顔になる。




「クリスマスプレゼントさ!
ロンのママが僕にもお揃いで作ってくれたんだ!」




ズキン


ハリーの嬉しそうな笑顔に胸が痛んだ。




『お揃い。』



なぜかその単語が胸に引っ掛かる。






ホグワーツに入学してから、私たちはほとんどいつも3人一緒だった。


授業も食事も自由時間もハグリットの所へ行くときも。



だから去年のクリスマスの朝、

お揃いのセーターを着てきたふたりを見て
私はなんだか置いてきぼりにされた気がした。


もちろん言葉にはしなかったが。









『ハリーはロンの親友だし。ロンのママとも顔見知りだから。そうよ。だから、ハリーはお揃いなのよ。』

『でも、じゃあ、私はロンにとって親友じゃないの?』


考えれば考えるほど胸がチクチクする。






「まあね。僕のママ、こういうの作るの大好きでさ。」


恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑うロンの顔を私はネビルの後ろから覗いていた。



「あ、メリークリスマス!ハーマイオニー!」


やばい、目が合っちゃった!



「メリークリスマス。ハリー、ロン。」


たしか私は
精一杯の作り笑顔で
お揃いのセーターを着るふたりと挨拶を交わした。



気持ちと正反対の笑顔で。










「ふぅ。」





ロンとハリーと談話室で別れ
自分のベッドに入ると


また去年のクリスマスが頭を過る。




『またひとりぼっちだったらどうしよう。』



そんなことを考えながら、私はいつの間にか眠りについていた。







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