短い読物

□9月29日
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9月29日〜side:R

「『ボクと会うた日が乱菊の誕生日や』なんて、殺し文句みたいなこと言って、人の誕生日、勝手に決めた癖に…」

 929…『苦肉』じゃない…何か、凄く絞り出した感がするじゃない…じゃなきゃ何?このナイスなバディに対する当て付け!?

 いい度胸してるじゃないの…ギン?今を以てあたしがあんたの死因を、窒息死に決定してあ・げ・る☆後世に名が残せるわよ〜♪『惚れた女の胸の谷間で窒息死したバカな死神』ってね!『反逆の死神』よりインパクトあるじゃない?嬉しくて泣けちゃうでしょ?

 一人手酌で酒を飲みながら、今は近くにいない愛しい人に語りかける。

 9月29日。何年前だか忘れるくらいのその日。貴方に逢えたから、今のあたしは生きてる。あの時、変な名前なんて言ってゴメンね。あんたの名前だったら、何でもいい、って今なら思える。ポチでも、ジョージでも、五右衛門でも。もっと沢山、呼んどけば良かったな…。

 わざわざ会いに来てくれなくても、あんたが同じ世界で同じ空気を吸って、この日を思い出してくれてるかも、ってだけで嬉しかったの。最後まで言えなかったな…『愛してる』って。
 今、目の前に来てくれたら言える…かしら?う〜ん…胸ぐら掴んで殴りかかっちゃいそうだわ。だからダメなのよね〜…あ!そうそう!あれよ、好きな人の前で強がっちゃう、素直になれない女ってヤツ。好きな分、意地張っちゃうのよね…。じゃ、あたしはギンのこと、かなり?すごく好きってこと!?うわ…『圧倒的敗北』?なんか認めたくないな〜…


 ちょっと気持ちが軽くなったような気がする。誰もいないからって、独り言ブツブツ言って。ちびちび酒飲んで。少〜しだけ素直になって。


 『ギン…会いたいよ…』





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