市丸帝国

□新副隊長誕生秘話
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 三番隊隊舎最奥手前。副官控室兼、居住室『副官室』。吉良が隊長就任と同時に隊首室に移ってから、空のまま放置されている。


 現・三番隊副隊長、チビ丸ギンもとい市丸ギンは、就任以来、この部屋に一日たりとも居たことはない。綺麗さっぱり、もぬけの殻のままである。副隊長でありながら、隊長の居住スペースである、隊首室住まいのままである。最終的には、過保護なパパとママが決めたのであるが…チビ丸自身、隊首室住まいをせざるを得ない諸々過ぎる事情もあったのだ。



 「死神ンなって、いきなり副隊長て、やっぱおかしいやろ?」

 つい昨日の、霊術院卒業及び護廷入隊試験で、総隊長や霊術院院長、各隊長達の前で、ちゃっかり…いや、うっかり卍解しちゃうような人が、良く言うよ…という言葉を飲み込んでから、吉良はチビ丸の説得を始めた。

 それでも、護廷の仕組みについての知識は持っているチビ丸には、三番隊や他隊の他の面々をぶっちぎりでの二席就任は、なかなか納得がいかないのだ。


 「あんなに欲しがってらしたお給料、最初から多めに貰えるんですよ?」

 吉良ママは、まず報酬の話から始めなければならない、何気な淋しさを噛みしめていた。

 「そりゃ、初任給から高給貰えるんは嬉しいんやけどなァ…」


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