短編小説【2】

□雨しとしと
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 梅雨入りしてからというもの、ここ最近雨天が続いていた。

 今日は一日くもりだと言っていた天気予報も見事に外れ、用心して傘を持って行っていなかったのかばたばたと足早に帰宅していく者たちがちらほらと見えた。

 そんな中、普段は滅多に失敗をしない蔵馬も今日は傘を持って行っていなかった。

 前髪から滴り落ちる雨に表情を若干しかめながらも、急いで家へと走る。


 家に着いた時には、遠くから小さく雷が鳴っていた。






 「ただいま。」




 鍵を開け、家の中に入ると辺りは薄暗く静寂としていた。


 まだ誰も家に帰宅していないと理解した蔵馬は、とりあえずタオルを取りに向かう。



 ある程度拭き終わり、着替えを取りに自身の部屋へ向かおうとしたその時だった。




 こちらへ向かってくる妖気が一つ。




 最初は、気を張り詰めた蔵馬だったがその妖気の正体を察するとやんわりと苦笑した。



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