キリリク小説
□グラスに映る想いとは(由佳様)
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―あなたは今どこにいるのだろうか。
―今宵、聖なる夜に一緒に過ごしたい。
―俺の愛しいあなたへ。
『グラスに映る想いとは』
聖なる夜。
人々は、暖かい雰囲気に包まれ大きなツリーの下でにぎわう。
キラキラと輝く灯りの下で、グラスの中に入っているシャンパンがゆらりと揺らいだ。
外を見れば、しんしんと降るふわりとした雪。
蔵馬は、カーテンの向こうの世界から視線を手元に戻すとシャンパンを一口飲んだ。
「ふぅ…幽助は螢子ちゃんと桑原君は家族と飛影は躯の所、コエンマはぼたんと…皆それぞれのクリスマスを過ごしてるのか。」
今年もあともう少しで終わり。
皆、それぞれの想い人と共に聖なる夜を祝っている。
蔵馬は、苦笑をもらすとそっと目を閉じて離れている自分の想い人を脳裏に映し出した。
そっと心に染み渡るように、いつのまにか愛しいと感じていた人。
深く深く、もうそむく事の出来ない想い。
蔵馬は、切なくため息をこぼすとまたしんしんと降る雪を眺めた。