X'mas 小説(2009)

□『Christmas Eve』
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―クリスマスイブ

 大きなクリスマスツリーが、大きなお星様をきらきらと輝く。 

 街中は色とりどりのイルミネーションに包まれ、幻想的な雰囲気が広がっていた。


 天気予報では今年初の初雪が降るかもしれないと予報された為か、子供たちは空を見ながら嬉しそうに騒いでいる。


 そんな中、真っ白なセーターの上からコートを羽織り蔵馬は家族へのクリスマスプレゼントを買いに街へと出てきていた。


 すでに義父と義弟へのプレゼントを買い終わり、あとは母親へのプレゼントだけ。

 
 がさがさと音を立てる袋を片手に良いプレゼントが無いか店を転々としていると、蔵馬は丁度こちら側に歩いてきている知人を見つけた。


 向こうも蔵馬に気が付くと、気さくに手をあげて挨拶をしてくる。


「よぉ、蔵馬じゃねーか!おめーもクリスマスプレゼント買いに来たのか?」


蔵馬と同じクリスマスプレゼントを買いにきていたのか、桑原もほらよっと袋を持ち上げて話かける。


「桑原君もですか。実は今、母さんへのクリスマスプレゼントを探していたところなんですよ。ただ、いくつかお店を回ったんですけどなかなかいいのが無くて…。」


蔵馬は転々と店を回って探してもイマイチ良いものが無く、ましてや女性に何を贈ればいいのかわからなかった。


桑原なら、静流や雪菜へプレゼントを贈るためもあってか何がいいのか知っているかもしれない。


「そうだよなぁ〜…俺も、姉貴はいいとしてよ、雪菜さんのプレゼントは一番悩んだしなぁ…。」


「桑原君は雪菜ちゃんに何を買ったんですか?」


「ん?俺は結局ネックレスにしたぜ?姉貴には、一升瓶の焼酎ってことにしたけどよ。まぁ、おめーのお母さんも息子からなら何を貰っても嬉しいと思うぜ?」

「そうですか?」

「おうよ。」

桑原の言葉に、蔵馬は少し悩みが軽くなった気がした。

「わかりました。とりあえず、またお店を回ってみます。ありがとう、桑原君。では、また。」

そう言って、蔵馬は次のお店に行こうとすると



「あ、蔵馬!おめー、明日空いてるか?」



「明日ですか?えぇ、今日は家族でクリスマス会をするから明日は空いてますけど。」



「なんかよ、幻海ばーさんの寺で久々皆で集まってクリスマス会しねーかって事になってるみたいでよ。姉貴が皆に声をかけてるみたいだから、よかったら来てくれよ。」


「わかりました。俺からも飛影達と会ったら声をかけときますよ。」


「おう、助かるぜ!んじゃ、またな。」


「はい。では、また。」


そう言うと、桑原は手をあげて人ごみの中へと消えていった。

蔵馬は、袋を持ち直すと次のお店へと向かったのだった。
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