短編小説【2】
□夕立ち
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凍矢が、一足先に出向いた事にほんの少しだけ驚いた鈴駒と酎はお互いに顔を見合わせてにかっと笑ったかと思うと同時に雨の中へと走り出す。
あまりにもはしゃぎすぎて水たまりができていた事に気がつかなかった酎は途中、水たまりに足をひっかけ、はねた水しぶきが鈴駒に直撃した。
「うわっ・・・!冷てっ!なにするんだよ!」
仕返しとばかりに鈴駒も同じように、反撃し始める。
そんな二人を鈴木が慌てて止めに入り、傍ら死々若丸は小さく小馬鹿にしたように笑った。
「なに一人だけ安全なところで避難しているんだ死々若!お前も二人を止めろ!」
「な…なに!?貴様!!」
一人だけ屋根の下で、避難していた死々若丸だったがいきなり目の前に現れた鈴木に腕をつかまえられるや否、お前も二人を止めろと言わんばかりに外にひっぱりだした。
夕立ちが上がった頃には、皆ずぶ濡れになっていた。
四名ほど泥だらけでもあったが。
「…なにをやっているんだ、あやつらは。」
そんな六人の姿に、幻海は呆れ顔をしながら
廊下を通りすぎたのであった。
完
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