SHORT TEXT

□さらば
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平和

そのものの

この町は

今日も青空

日本晴れです。

黒い飛行機雲

止まぬ空襲の音

日本の平和も

これで終わりですか…?


「玲汰っ!」

暑い空の下、蝉時雨を浴びながら麦茶を飲んでると友達の流鬼が庭にずかずかと入ってきた。


「赤紙が来たって本当かよ…?」


その事だと思ったよ。


「あぁ、来たよ」


流鬼は目に涙を溜めて、


「…なんで?まだ学生なのに…、行かないで…」


そんな流鬼が痛々しかった。


「そうはいかねぇよ。お国も大変なんだろうよ。」


残酷だけど、これが日本の為だ…。


「日本がなんだよ…!なにが神の国だよっ…」


流鬼はその場に泣き崩れてしまった。


テレビや、ラジオは

他国の犠牲晒す

次は我が身と

語らぬジャーナリスト

反戦の声は

いつまで経っても

届かない

教えて

何故同じ人間同士が争うの……?


「…行かないって、言って…」

「流鬼…」

「嘘でいいから、行かないって…言って…っ」


ごめん


―――


長かったようで短かった戦争がやっと終わった。

俺は幸い酷い怪我は無く、少しの火傷程度だった。

そして玲汰の帰りを待った。

帰ってきた玲汰は松葉杖をつきながら帰ってきた。

爆撃で片目を失ったが、命に別状はなかった。

この狂気と絶望の日々を、俺は忘れはしない。

だから俺は歌う。

戦争反対の歌を

音は世界を広げていく

もう

二度と

傷付け合わないように

この世界が

笑顔で溢れる

日まで………


-end-

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