SHORT TEXT
□君の知らない物語
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「今夜星を見に行こう」
キラキラ輝く星空にはしゃぎながら怜は上を見ていた。
「キレイだぁー!!圭も早く来なよ!!」
俺は笑う怜を見ていた。
こっちまで笑顔になるようなキレイな瞳をしている。
俺は怜の方に行って、隣に立って空を見上げた。
「あれがベネブ、アルタイル、ベガ。」
俺は怜にそう教えると、怜は「へぇー」と言っていた。
何かを探すように空を見渡す怜に、どうした?と聞くと怜は、
「あれが織姫様でしょ?…彦星様が居ないよ…?」
怜は寂しそうに「これじゃ一人ぼっちだよ」と言った。
俺は寂しそうに空を見つめる怜の頭を撫でて、
「いつか会えるから安心しろって…」
と言った。
怜は俺の「いつか」に顔を曇らせた。
「俺が死んじゃったら、お墓は来なくていいから、此処に星を見に来てよ」
そう言った。
怜にはもう時間がない。
真実は残酷だ。
「お前はまだまだ死なないから、そんな事いうな。」
怜の手にそっと自分の手を絡めて握った。
そしてまた2人で星空を見た。
怜の頬に涙が伝った。
どうした?
言ってごらん。
ココロの声がする…
『何処にも行かないで』
-end-