長編

□イレギュラー
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「どうやら神様が勝手に母胎の中からやり直せとのお達しみたいです」


プールで潜ったみたいにコポコポと水の音がする。
家で、自分のベッドで、いつものように、1日を終わらせたはずだったのに。

なぜ水の中に私はいるのさ…。

確かに前触れ的なことは悲しいぐらいにあったけどね。
黒猫とか黒猫とか黒猫とか……まさかの全部黒猫だけどさ。
迷信だって?気にしない気にしない。

水の中+目が開かない+女の人の声がする=母胎の中
そう考えるのが普通だと思うけど…
えっ普通、思わないって?夢小説巡りしてれば思うようになるよ。

胎児なのに意識あるとか、私最強だわ。
あら、光が見える。
でも、生まれるって痛いらしいのですが…大丈夫ですかね。
出るとき、頭を小さくするために頭蓋骨が重なる?的なことを聞いたことがあるようなないような。
でも、まぁ、
2度目の人生楽しく生きようじゃないか!!


と思ったのはいいが…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

そりゃーもう泣きわめきます。
皆こんな痛みの中生まれてきてたんですね。
「無事に生まれましたよ、メローピーさん。」
メローピーってあれ?某児童書の闇の帝王のお母さん?え?そんなわけ無いよねぇ。
一瞬ビックリして産声がピタリと止まった。
「私とあの人の子。トム、一緒にいられないお母さんを許してね……」
「メローピーさん!?」
えっ?

私を抱いていた腕の力がふっと無くなった。
オカアサン?知ってる?私まだ生まれたばっかりなのよ?
首座ってないんだってば。

いきなり死亡フラグは勘弁。

私をトムとお呼びになった?え?
なんつー平凡なお名前でこって。
エリックとか並みの平凡さ…
「この子も可哀想に…生まれてすぐお母さんを亡くすなんて。こんなに可愛い奥さんを捨てるなんて父親の顔がみてみたいわ。」


マザーに頼んでこの子うちの孤児院で育てていいか聞いてみようっ!!
とかなんとか言ってるから衣食住はなんとかなりそうでよかったです。




→#
あとがき
サバサバした彼女、後の院長(マザー)である。

そして全国のエリックさん、トムさんごめんなさい。
平凡じゃないですね。
中にはファントムの様に天才な方もいるっていうのに…
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