中編

□参
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今日の天気は晴れ、陽射しも温かい。お昼寝日和だ。因みに兵士さん達から言わせると「鍛練日和」だそうだ。豊臣軍は強くなくちゃいけないから、鍛練は欠かせないらしい。兵士って大変だな。
三成も例に漏れず鍛練をしてるんだけど…さっき見た時なんかこう、気迫がやばかったんだよね。鬼気迫るというか…これも秀吉様の為、ってやつなのかな。


『あ、茶柱』

「ヒヒッ、ぬしは幸運よなァ。われとは違い、神にでも愛されているやもしれんな」

『大袈裟だよ。じゃあ私といたら病気も治っちゃったりしてね』

「だと良いのだがな」


ずず、とちょうど良い温度のお茶を啜って、合間に吉継と話す。吉継は病気だし超能力で戦うから鍛練はしない。だから三成が鍛練の時、たまに私とお茶を飲む。最近は三成がいない間は殆ど吉継といる気がするくらい回数増えたけど。
部下に買って来させたというお饅頭も美味しいし、天気良いし、平和で良いな。


「やれ亜輝、そういえばぬしに聞きたいことがあった」

『なに?』

「ぬしは三成をどう思う」

『……へ?』


どう思う。吉継の言葉を理解しようと数秒考える。…上手く理解出来なかった。


『どう思うってどういう意味で?どんな風に見えるかってこと?』

「…まぁそんなところよな」

『うーん…』


三成をどう見てるか。手のひらに顎を乗せ、肘を膝について考える。


『そうだなぁ…真面目で堅物だよね。もうちょい気抜いてる時があっても良いと思う』

「さようか」

『でもそんな頑張り屋さんなとこ、私は好きだなぁ』

「ほう」


吉継は私が話している間楽しそうに相槌をうつ。やっぱり友達だから周りの反応が気になるのかな。


『…あ、でも最近三成イライラしてる気がする』

「そうよなァ、最近の三成は頗る機嫌が悪い。何故だろうな、ヒヒッ」

『…その口振りは何か知ってるよね、吉継』


楽しそうな声が隠しきれてないよ。という意味を込めて見つめると、やれ鋭いスルドイとわざとらしい声で返された。また馬鹿にしてる!もう良いけど!

三成は最近機嫌が悪い。城下町に行った次の日くらいから。私といる時はそうでもない感じなんだけど、一人でいる時とか、家康を見掛けた時とか…そう、家康によく喧嘩腰なんだ。


『なーんで家康とあんな仲悪いんだろうね…』

「欲するものを奪い合う時は皆仲違いする。もしわれがぬしの茶菓子を奪ったら怒るであろ?」

『当然!食べ物の恨みは恐ろしいよ!…家康と三成がお互いに欲しいものってなに?』

「この世にひとつしか存在し得ぬモノよ。そして今それはぬしの程近くに在る」

『ひとつ…私の近く…?』


いつの間にかお茶を飲み干した吉継はふわりと輿を浮かせる。あとは自分で考えてみよ、と言い残してそのままどこかへ飛んでいく。…え、ちょっと!普段馬鹿扱いしてるなら私が分からないことくらい察してよ!!
吉継の見えなくなった場所を見つめながら私は肩を落とした。



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