短い夢「文」

□記念ss
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〜100ページ突破記念〜






「うわあああああ〜〜〜☆vV」






キラキラと瞳を輝かせ、ソウマはショウウィンドウに釘付けになっていた。


「すっごくキレイ・・・。」


白く、雪の城のようにそびえる大きなそれ。


様々な色のクリームで彩られ、シロップが流れるほどたっぷりとかかった真っ赤なイチゴ。


可愛らしさの中に、どこか気品を感じさせる、緻密なつくり。


「これが・・・ウエディングケーキ・・・。」


この出会いは全くの偶然だった。


さて夕食の材料でも買いに行こうと、いつものように徒歩で出かけ。


ちょっと散歩がてら気分転換に寄り道をしたところに、このケーキ屋があったのである。


そのケーキ屋はウエディングケーキの注文も受け付けていて、ショウウィンドウには、ケーキ屋自慢の美しいウエディングケーキが飾られていたのである。


ソウマは今13歳。だいたい、この歳でいったら「食べてみたい。」と思うのが当然だろう。


もちろんソウマも口内に唾液が分泌されるのを感じ取ったが、その『食』の欲望よりもさきにたつものが、この少年にはあった。


「作って・・・みたいなぁ・・・。」


かくして、ソウマはさきほど出てきたスーパーに急遽引き返し、山のように材料を抱えて帰宅することになったのである。


「さて・・・どうしよう。」


早速エプロンをつけてキッチンに立ちたいところだが、何故かソウマは机に向かっている。


面倒なデスクワークは「もっと分かりやすく丁寧にまとめること」と横暴ないちゃもんをつけてついさっき送り返してしまった。


今ソウマが手にしているのは、様々なケーキのチラシや過去に作ったケーキのレシピ。それから山づみのA4紙。もちろん全て白紙だ。


いくら早く作りたいといっても、材料を無駄にしてはプライドにかかわる。そこでソウマが出した結論は


「設計図・・・つくらなきゃね。」


年季を感じさせる万年筆を口に当てながら脳内に膨大な量のケーキ情報を発動させる。


やはりウエディングケーキはあの白さが魅力的だ。ここはやはりショート。


さらにあの宝石顔負けに輝くイチゴの美しさは欠かせない。イチゴはふんだんに使おう。


スラスラとペンが走り、紙の上に美しい軌跡を残していく。


その絵はあまりにも気品にあふれていて、どこかの気高い皇女を想像させる。


「・・・なんか・・・・ものたりないなぁ・・・。」


あのケーキのような可愛らしさが見当たらない。ピンクや水色のクリームや砂糖菓子でもちりばめれば違うだろうが、それではただのまねっこだ。


ーなんか・・・ないかな。


可愛いもの・・・可愛いもの・・・。


「ルル!!!・・って。」


作れるか。


「いやいや。ルルをイメージしたウエディングケーキって・・・どんなだっていう・・・。」


しかし考えれば考えるほどルルーシュしかうかんでこない。


他だ他・・・・


「スザク!!!・・・。」


人が変わっただけだった。


「2人ともからかうと可愛いんだけどな・・・。」


ルル・・・スザク・・・ルル・・・スザク。


ネコ・・・イヌ・・・・?


「あれ。まさかの変換?」


まあ分からないこともない発想だが・・・・。


「イヌとネコっつったってウエディングケーキにどう現すのか・・・・あ。」


ペンがついっと舞い、設計図にインクをひく。


「こ・・・・これだあああああ!!!!!」


====================


「へ?またソウマ来てないの?」


少し遅れて学園についたスザクはルルーシュにソウマの不在を告げられる。


「前のような理由はないだろうが・・・気になるな。生徒会の皆にも相談してみよう。」


再び集まったメンバーは2度目になるソウマの家までの道のりをこえ、勝手にお邪魔すると。


キッチンに、こうこうと輝く明かり。



「これ・・・・ソウマが作ったのか・・・?」


「だったら・・・すごいよね。」


「うん・・・。自信なくしそう。」


上から、ルルーシュ。スザク。シャーリーの感想である。他のメンバーは口をあけたまま呆然としている。


美しい城。


真っ白な土台に宝石の如く輝くイチゴ。飴細工で作られた透明な氷の花。


荘厳なその城のいたるところに。


クッキーでできた茶色いイヌと、生地にココアパウダーを混ぜてできた黒ネコ。


可愛いクッキーなわんことにゃんこが追いかけっこをしている。


「かわいすぎ・・・だわ・・・。」


ミレイですら感嘆の声を上げ、みんながその作者をみつめる。


水色のエプロンを身につけたまま、キッチンテーブルに崩れ落ちるように眠っている幼くも愛らしい姿。


一体、この少年の無邪気な心に何がここまで影響をおよぼしたのかは、本人のみぞ知る。だ。


友たちの複雑な心境など知るよしもなく、小さなパティシエはむにゃむにゃと呟いた。






「結婚・・・おめでと・・・・♪」





「「「「誰が!!!?」」」」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

どうもメイです。


いかがでしたでしょうか?


今回は100ページ突破記念ということで、記念ss書かせていただきました^^


ソウマがお菓子作りを趣味としているのは本編にあったのですが、


実際に書いてみるとおもしろいやらむずかしいやら・・・。


おそまつさまでした〜^^”


H21 11月25日 完成
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