悟浄×八戒
□挨拶と一緒に
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ジリリリリ、ジリリリリ、と煩わしい程の大きさで鳴り響く目覚ましの音で八戒の一日は始まる。
「ぁあ、今日もいい天気ですねぇ。」
こんなにいい天気だから今日はシーツも洗ってしまおうか、悟浄をどうやってたたき起こそうかな…、などと少しばかり物騒なことを考えながらも八戒は、テキパキと家事をこなし始めた。
ジャ――ッと食器洗いを済ませた所で家事も一段落つき、残すは洗濯のみ。
ふと、時計に視線を流せば悟浄の起床には少しばかり早い10時15分を指していた。
どーしましょうかね?と悩む素振りは見せたものの、まあ、いいですね。と、いとも簡単に納得し、さっきまで自分も寝ていた寝室へ足を向けた。
カーテンから入ってくる木漏れ日が真紅の髪の上にキラキラとちりばめられ、いつもと違う、子供のようなあどけない寝顔に微笑みが零れる。
「悟浄、朝ですよ。」
ゆらゆらと体を揺すってみるが、んんー、と声を漏らしただけで起きる気配は感じられない。
少しばかり悪戯をしたくなり、ちょんちょん、とほっぺを突いて見る。
「くすくす、……安心しきった顔しちゃって、」
自分という存在に安心してくれている、と思うとなんだかとても愛おしく感じ、頬と額にやんわりと口づけてみる。
自然と口許が上がり、これが幸せってやつですかね、などとべたなことを思いながらも柔らかい気持ちに包まれ、もう少し寝かしといてあげようと額に寄せていた顔をあげようとして、失敗した。
いつのまにやら起きていたらしい悟浄の腕が八戒の頭を固定し、八戒の唇を己のそれに合わせたのだ。
「…んんっ、なにするんですか悟浄。」
「ん?ナニって朝の挨拶。」
「言葉だけで充分です!」
「だって八戒さんが可愛いコトしてくれちゃったから、お返ししよーと思ってサ。」
そーいってニヤリと笑い、もう一度唇をゆっくりと寄せ合い、二人は幸せそうに微笑みあったのだった。
「…おはようございます、悟浄。」
「ん、はよ、八戒。」