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□猫と沖田
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「あっ」




巡察の最中、ふと視界を横切ったものに目を奪われる。
思わず声をあげてしまった自分に気付いたのだろう。同行していた原田が後ろから、何事かと声をかけてきた。


「猫が居たんです。珍しいな、と思って」
「猫?・・・・・・・・・・ああ、そういや最近見てなかったな」


原田は千鶴の弾んだ声に微笑すると、優しく頭を撫でた。

「あっちの方に行ったんだよな。少し見に行ってみるか?」
「いいんですか?」
「あんまり良くねえけど、な。今日の見回りは大体終わったし、偶にはな」

そう言って、原田は他の隊士達に解散を告げる。
千鶴は原田の好意に感謝すると、彼と一緒に猫が走って行った後を追いかけた。







「うわあ・・・・・沢山いる!」
「へえ。子猫も居たのか。可愛いな」

追いかけていくと、すぐに目的のネコは見つかった。しかも珍しいことに、母猫と一緒に3匹の子猫も居たのだ。
その愛らしさに、千鶴は思わず声を上げた。

「よかったな、千鶴。良いもんが見れて」
「はい!すごく可愛いです!」

生き生きとした眼で話す千鶴の様子に、原田は苦笑した。
ここのところ物騒な事件ばかりで、落ち着かない日々が続いていた。それでも弱音一つ言わずに皆を手伝おうとする千鶴の姿に、原田は感心していた。

そんな彼女だからこそ、何か気分転換でもさせてやれれば・・・・と思っていたのだ。






 
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