南国娘(PAPUWA)
□師弟
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マーカー
(めでたい奴だ)
隣を弾むように歩くリナをチラリと盗み見る。
警戒している素振りがまるで感じられない。
あんな宣言をした男と共にいて良く平然としていられるな、と呆れる。
それとも言葉の意味を理解していないのか。
マーカー
(いや、あの状況で言ったんだ)
“遊び”と言ったら間違いなく“淫らな遊び”
だとわかる筈。
マーカー
(ハッ!まさかこの女!!!)
マーカーはくわっと細い眼を見開いた。
「ふん、マーカーにそんなことする度胸ある訳ないわ。悔しかったらヤッてみなさいよこのヘタレインポ野郎!」
言ってない。
マーカー
『‥ックックッ、ハーッハッハッハッハッ』
リナ
『マーカー様?』
突然高笑いを始めたかと思えば、今度はキッと睨んでくる。
マーカー
(二度とそんな台詞が吐けないようたっぷり辱めてやる…)
リナ
(え、え?私、何かした?)
既に半ベソのリナ。
アラシヤマの思い込みの激しさは師匠譲りかもしれない。
・・・
マーカー
『邪魔するぞ』
家主の許可を得ず、ツカツカと洞内に入っていく。
そう、此処はアラシヤマハウス。
昼間だというのに薄暗い。
マーカー
『いないのか、アラシヤマ』
ぽぉっと手に小さな炎を灯し、奥の方まで照らす。