一輪の華(銀魂)

□喪失
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緋那
『…え、ずっと此所で待ってたの?もう家に帰ってるかと思った』


現在午後一時。 


銀時
『言い訳があるなら言ってみろ。一応聞いてやる』


待ち合わせをしたのは午前十一時だ。


緋那
『昼飯係が腹壊して便所から出れなくてさ、代わりに色々やってたら遅れ…』

銀時
『いや、連絡くらいしろよッ』

緋那
『したくてもできないだろ、お前携帯持ってないし』


待ち合わせの少し前に万事屋に電話したのだがもう家を出た後だった。


銀時
『何それ、俺が悪いって言ってンの?』

緋那
『言ってねぇだろそんなこと。ほら、これ』

銀時
『あ?詫びの品か?』


突き出された紙袋を受け取る。


緋那
『そういうわけじゃないけど』

銀時
『これって…』


中身は携帯電話だった。


緋那
『プリペイドだけどな。俺の番号入れてあるから、用があるならこれからはそれで連絡してくれよ』

銀時
『いや、うん、別にいいけど、お前がそんなに俺と繋がってたかったとは正直驚きだわ』


緋那の顎を人差し指で持ち上げ親指で唇を撫ぞる。


銀時
『まさか俺に惚れちまったンじゃ…』


ガブッ


銀時
『痛だだだだだだッ。馬鹿野郎ッ、まじで痛いってッ。お願い離してッ』


思いっきり親指に咬みつかれた。


銀時
『何なんだよお前、新手のツンデレか?』


ヒリヒリする指にフーフー息を吹き掛けながら涙目で抗議する。


緋那
『屯所の電話にかけてこられるの迷惑なんだよ。万事屋にかけてお前以外が出るのも面倒だし。怪しまれたくないだけだから』

銀時
『わかったからそのジト目はやめなさい。心が痛い』


緋那はプイッと目を反らした。


銀時
(‥ったく、よくわかんねぇヤツだなー)

緋那
『あのさ…』

銀時
『ン?』

緋那
『待たせて、ごめんね』

銀時
『…おー。わかればいいんだよ、わかれば』


本当に難しい奴。
  
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