一輪の華(銀魂)

□手離れ
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土方
『緋那、総悟知らねぇか』

緋那
『総悟?んー、そういや朝メシの後から見てないですね』


またサボりか。


剣の腕は真選組一の総悟だが、素行の悪さもまた真選組一だ。


土方は額に手を当て、溜め息を吐いた。


土方
『だから総悟と一緒は嫌だって言ったんだ。どうすんだ、これから市中見廻りだってのに…』


巡回は原則二人一組となっている。


土方
『あ、お前でいいか。緋那、ついて来い』

緋那
『はい。じゃあ近藤さんに聞いて…』


普通、隊員は隊長や副長の命令に関していちいち局長の許可を得る必要はないのだが緋那の場合は別だった。


隊務で外出する際は事前に報告するようきつく言われている。


土方
『近藤さんはお偉いさん方と会合中だ。こんくらい後で報告すりゃ大丈夫だろ。ほら、行くぞ』



・・・



緋那
『暇ですねー』


何かとトラブルの多い歌舞伎町も今は静かだ。


土方
『良い事じゃねぇか。俺らが暇って事ァ平和な証拠だ』

緋那
『そうですけど。でもこうも暇だと…って、何してんだあの人』


少し目を離した隙に、一般市民相手に声を荒らげている。


緋那
『どうしたんですか?みんな見てますよ』

土方
『どうしたもこうしたもねぇッ。今コイツの吐いたガムが下ろし立ての靴の裏に…』

緋那
『そんなことで騒ぎ起こさないで下さいよ。軽く注意するくらいで済むことでしょう』


緋那は土方の靴を脱がせ、付いたガムを剥がしてやった。


それをそのまま男の口の中に戻す。


緋那
『ガムを口から出す時は紙に包んでゴミ箱へ。ちゃんと覚えて下さいね。でないと狂犬に噛み付かれますよ』

土方
『誰が犬だ、コラ。あ、犬といやー、さっき犬のウンコ踏ん…』


可哀想に、男は公衆便所へ駆け込んで行った。
 
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