南国娘(PAPUWA)
□魔法薬@
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土方
『ん…』
小鳥の囀りに目を覚ます。
起き上がろうとしたが、リナが腕枕でスヤスヤ眠っている事に気付いて止めた。
心地良い重さに自然と頬が弛む。
柔らかな髪を梳きながら思い出すのは昨夜の情事。
色だの恋だのを遠ざけて生きてきたが、自分も他の男達と何ら変わりない欲求を持ち合わせているのだと思い知らされた。
リナ
『土方さん…』
半身にキュッとくっついてくる。
起きたのかと声をかけるが返事はない。
無意識にすり寄ってくる仕草が堪らなく愛おしく、額にそっと口付けをした。
武士の道を志す自分には色恋沙汰は邪魔なだけ。
だが一度知ってしまった安らぎからはそう簡単に抜け出せないだろう。
何よりリナを手放したくない。
俺は侍だ。
己の真の心に背きはしない。
・・・
リナ
『んー…』
土方
『おう、起きたか』
ムクリと起き上がり、目を擦るリナに台所から振り返って声をかける。
土方
『すぐ朝飯できっから顔洗ってきな』
リナは眠気の覚めない声で返事をして出て行った。
タオル片手に湖へ向かう途中―。
リナ
(…近藤さん?)
近藤が木に寄りかかって眠っている。