★雨織★

□再開
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待ち合わせの場所に向かうと、井上さんと黒崎がいた。

何やら、いろいろと喋っている様子だった。
井上さんの姿を見る限り、感謝の言葉などを伝えていた。


まるで二人の世界を破るように、僕は声を掛けた。




「井上さん」




その言葉に、くるりと井上さんは振り向いた。



「…石田くん……!」




なんだか懐かしい彼女の笑顔に、安心した。

・・・・よかった・・・
いつもの井上さんだ・・・・・



周りの目など気にせず、向かってきた井上さんを抱きしめた。

黒崎は少々驚いている。


「石田くん…、もう大丈夫なの……?」

「うん。井上さんが腕の治療をしてくれたお陰で、すぐ退院できた」

「…そっかぁ、よかった!」



・・・・・・笑顔が似合ってる、これこそ彼女の特徴。



実際、僕は心配していた。
井上さんと虚夜宮で逢った時、全く笑顔を見せなかった。
そして、何処か虚ろな目に、引っ掛かっていた。


井上さんを傷つけないように、ウルキオラとの戦いを挑んだけど…

全然僕は役に立っていなかった。


それどころか、井上さんを余計苦しめていたのかもしれない。



入院中、ずっとそのことばっか考えていた。








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