若いんだからしょうがない

乙女ちっくでいいじゃない?
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「ねぇ、もう帰りたいんだけど。」
「ちょっ、もうちょっと待ってください。」

ハァと大きくため息をつかれるが聞こえないふりをする。
どうしても今帰られるわけにはいかなかった。

「帰りにパフェ奢りますから。もう少しだけ。お願いします。」
「そんなんで釣られると思ってんの?…いちごのね。」

はいはいと案外簡単に釣られてくれたことに胸を撫で下ろす。
チャイムの音が鳴り響いた。外からは部活の始まる声が聞こえる。
対象的に教室の中は静かで、廊下からは足音も聞こえなくなった。
ねぇ、まだ?と銀色の髪を掻き大きな欠伸をするその人は机の上に足を乗っけて踏ん反り返っていた。
誰もいないことを確認して、教室のドアを閉めるとその人の前の椅子に腰掛ける。

「すみません坂田先輩。」
「そう思うなら早くしてくんない…?」
「すみません…あの、ちょっと聞いて欲しいことがあって。」
「うん。」

坂田先輩は机から足をおろすと、正面に座っている俺の方を向き机に肘をついた。
夕日が窓から差し込み視界を眩しくする。
目の前に座るその人の髪がキラキラと赤く輝いた。

「先輩…。」
「んぁ?」
「愛ってあると思いますか?」
「は?」

初めて見たというくらい坂田先輩が驚いた顔をした。
それが意外にも可愛らしくて、土方先輩が惚れるのも無理がないと心で呟く。
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