(猛烈にぎゅーってしたいことってない?あるよね!え、ない!?)











アヴァロンに設置された格納庫。


そこで無邪気に猫のアーサーと戯れているユーフェミアは、騎士である自分がいうのもなんだが…………スーパーウルトラマックスで、今日も可愛い。



だが、今日のスザクはちょびっとだけ不機嫌だった。何故なら、ユーフェミアの腕の中にはアーサー。そのふくよかな胸に埋まる勢いで抱きしめられていて、スザクは正直面白くない。


だが、ユーフェミアはご機嫌にアーサーと遊んでいる。


「きゃ、アーサーったらそんなところにお顔を突っ込んだら駄目。くすぐったいです」


その言葉に、スザクは総毛立つ。アーサー……僕も触れたことがないユフィのおっぱいによくも…………!!!!!




事の始まりは一通のメールからだった。

会いたいです、と、ユーフェミアからの珍しいお誘いメールに喜んだのも最初だけ。ユーフェミアのお目当てはなにを隠そう……スザクの飼い猫アーサーだった。




愛猫家である彼女は、黒ぶち猫のアーサーが大のお気に入りらしく、会うやいなや両手を広げてスタンバってるスザクよりも先に、「アーサー!」と、そちらにかじりついた。



(アーサー……僕は君が大好きだけど今日だけは小憎らしい………!!!)



などと涙ぐめば、「きゃっ」とユーフェミアの声。何となしに顔を上げれば、ぺろり、と、アーサーがユーフェミアの白い胸元を舐め上げていて、スザクは盛大に噴き出した。




「あーーーさーーー!!」

「え、え、え?スザク、どうかしました?」


いつもは穏やかなスザクの剣幕にユーフェミアはキョトンとしている。


「な、なにか?スザク………」

「今………アーサーが君に猥褻な行為を……!!!」

「えええ!?アーサーはちょっと舐めただけですよ!えっと……むなもと、を」

そう気恥ずかしげに俯いた顔はもう可愛すぎて、スザクは心中悶絶してしまう。なんでそんなに可愛いんだ君は!




「じゃあ君は誰にでも舐めさせるわけですか!!ほー!!」

「ね、猫ですもの、これくらい普通ですっ」

「じゃあアーサーと僕、どっちが好きなの!?」


唐突な質問にユーフェミアは(えええーー!?)と目を丸くする。なんだかよく分からないが、今日のスザクはヤキモチ焼きさんだ。



「そ、それとこれとは話がちが」

「いいから、ユフィ…どうなの?」



ゆっくりとした動作で近づいてくるスザクがなんだか怖い。というか目が完全に据わっている…!


反射的に、ユーフェミアはアーサーを背後に隠した。すると、「やっぱりアーサーの方が好きなんだね」と言われて、ユーフェミアの顔は真っ赤になる。そして、ゆっくりと、気恥ずかしそうに唇を開いた。




「………ね、猫ならアーサーが一番。でも殿方なら……」

「……殿方なら?」

「………っ」



知ってるくせに、と、泣きたいのを我慢して、「スザクが好き……」と、ユーフェミアは下を向いたまま呟いた。そんな今にも泣き出しそうなユーフェミアの様子に、スザクはようやく悪乗りしすぎたことに気付いた。



いつも優しい空色の瞳は、なんだかとても悲しそうで、スザクは、ああああ、と、心中呻いた。やらかした。またやらかしてしまった。











(ユフィに、また悲しい顔をさせてしまった!!!!)







そうしてスザクは、壁に頭を打ち付けた。





「僕は…僕はっ!俺はああああ!」

「ス、スザク!?」






ユーフェミアの制止する声も聞かずに、そのまま壁にのめり込む勢いで頭をぶつけるスザクに、ユーフェミアはぎょぎょっと叫ぶ。



「スザク!貴方一体どうして…っ」




訳が分からず、そうまごつくユーフェミアに、「ユーフェミア皇女殿下!!!!!」と、これまた凄い勢いで、スザクが顔を上げる。これにはもうユーフェミアも、ただ目を白黒させるばかりで。



「は、はい………!!」

「自分は、ユーフェミア皇女殿下がお優しいのを良いことに調子に乗っていました………」



く、と、今にも切腹しそうな勢いのスザクに、ユーフェミアはびっくりだ。けれど。






「スザク」






と、彼女は花が咲いたように微笑んだ。







「ふふ、ふふふ」


「……なんです」


「ううん。私、愛されてるなあって」



そう微笑んだ彼女は、赤くなったスザクの鼻を、つ、と、撫でた。




「そうですね…スザクは騎士としては二流かもしれません」

「ううう……」

「ですけど、恋人としては一流ですよ?」




そう悪戯っぽく微笑んだユーフェミアに「ユフィ…」と、キスしようとしたスザクは、あっさりとアーサーに先を越され絶叫した………。











(馬鹿ですか。ああ、馬鹿ですよ!)











B級ナイト
(でもそんな自分も心地良い)



END
「騎士姫時代のスザユフィ」「とにかくスザクがユフィを好きで好きでたまらないお話」というリクエストで。

書いていて凄く楽しかったです!

そしてどうやら…私は極端に暗い話か、極端に明るい話しか書けないみたいです…^_^;困った!

リクエストは都合により一つにまとめさせていただきましたが、お持ち帰りはリクエスト下さったお二方様のみ可です。

リクエストありがとうございました!




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