千年血桜 -鬼-

□1月3日
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夜になり、取り敢えず床に付いたものの、紅はなかなか眠る事が出来なかった。




『最近寝不足だぁ。……ッ!!』




そこで紅は外が騒がしい事に気が付いた。



そしてよく耳をすませると怒号と悲鳴、鋼と鋼がぶつかり合うような音が庭の方から聞こえてきた。





『千鶴!!起きて!!!』




??「夜分に失礼します!!」




紅が千鶴を起こした時、廊下から魁の声がした。





スーッ




中に入ってきた魁の顔はいつになく緊張したものだった。




『何があったの!!?』




島「鬼達が屯所に襲撃を仕掛けてきました。」




『鬼!!?(どうして…霊圧なんか感じなかったのにッ!!!)』




雪「えぇっ!!」




千鶴は驚いて慌てて部屋を飛び出そうとしたけれど、それは紅と魁が止めた。





島「奴等の狙いは君達です。此処で、じっとしていて下さい。」




雪「で、でも…!!」





『島田!!千鶴は任せたからね!!ウチは外に行くから!!!』




島「な!?待っ……!!」





紅は魁の制止の声も聞かずに飛び出した。





――…




『(風間達の霊圧は分からない。…トシの所に行くか。)』




紅は未だに風間達の霊圧を感じる事が出来なかったので歳三の所に行く事にした。



が…




風「どこに行くつもりだ??」




『ッ!!』




紅の真後ろでしたその声が千景の声だと理解した瞬間、伸びてきた腕に紅の体は引き寄せられる。





風「やはり貴様は鬼の気配を隠せば我等の存在に気付かぬか。」



『…なッ!?(こいつわざと霊圧を消していたのかッ。)離、せ!!』





風「フン、こんな鬼のなりそこないばかり集まった場所で、何をする事がある???」




『ひゃ…。』




千景が紅の耳元で嘲るような、面白がるような口振りでそう呟いたかと思うとヌルリ、と千景の舌が紅の耳内に入ってきた。




紅は背中にビリリとした感覚が走り、小さく声を漏らす。




そんな紅の反応に満足したのか千景は舌を耳内から抜いた。




風「いくら人間に協力した所で最後は裏切られるだけだぞ??作られたまがい物の鬼達を見ただろう??あんな物を生み出す奴等に手を貸し、お前に何がある???」





『う、ウチには……。』




千景の言い分に紅は思わず言葉が詰まってしまった。





この間千に問われ、漸く気付いた自分の想い人。




今思えばいつも紅は歳三の事を考え、見つめてしまっていた。



だが、紅は鬼であり、歳三は人間。




例え紅が鬼でなくても死神だ。




二人の間には埋める事の出来ない深い溝があった。






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