千年血桜 -鬼-
□0月9日
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その日の屯所はいつになく騒がしい雰囲気だった。
廊下ですれ違う隊士達の数がやけに多く、皆、なんだが盛り上がっていた。
『ン〜??何かあったのかな??』
雪「どうしたんでしょうね??」
2人が話していると前から息を切らした伊東がこちらへ向かってきた。
伊「はあ…はあ…!!冗談じゃありませんよ、まったく!!!」
そこでキュピーンと紅の猫被りスイッチが入る。
『どうしたんですか伊東さん!!そんなに息を切らして…ッ。』
雪「(わぁ…。)」
若干潤目で伊東へ話し掛ける紅へ千鶴は尊敬の眼差しを送る。
伊「紅!!どうしたもこうしたもありませんよ!!私が何であんな野蛮人共と同じ部屋で肌を曝さなきゃならないのです!!!」
伊東の言葉に“お前は恋する乙女かッ!!!”と突っ込みを入れたくなった紅だがそこは我慢しておいた。
『ぇ、と。屯所内で何かあったんですか…???』
伊「…お医者様が屯所に来られているのですよ。隊士達の健康診断を行うとかの名目で。」
伊東はそこまで言うと今来た曲がり角の向こうを睨む。
伊「あのハゲ坊主!!皆の前で私に服を脱げと仰るのよ!!拒んだら無理矢理脱がそうとするし!!!」
『(だからお前は乙女かッ!!!)…ぬ、脱げだなんて。そ、そんな///』
顔を染める紅に伊東は“ンもぅ紅は初なんだから”と擦り寄ってくる。
と、そこへ千鶴の声がした。
雪「あの、お医者様のお名前は…???」
伊「ん、確か…。松本良順とか言ったかしら。」
千鶴は伊東のその言葉を聞くと勢い良く健康診断が行われている広間へ走って行った。
『あ、千鶴!!待って!!!』
それを紅も素早く追い掛ける。
(伊東と2人きりなりたくない。)
伊「あら、行ってしまいましたわ。」
――…
広間に着いた2人が戸を開くと目の前にある意味壮絶な光景が広がっていた。
その光景とは…
永「ふんッ!!どうすか!!?剣術一筋で鍛えに鍛えたこの身体!!」
藤「新八っつぁんの場合身体は丈夫だもん。見てもらうのは頭の方だよなぁ(笑)」
松「んー永倉新八っと。よし、問題ない。次。」
良順がそう言い次の隊士を見ようとしたが新八は食い下がった。
永「ちょ、先生!!!もっとちゃんと見てくれよ!!」
新八は良順に自分の筋肉をこれ見ようがしに見せ付ける。
原「新八。後ろがつかえてるんだからさっさと終わらせろ。」
斎「診察は見てもらうものであって、見せ付けるものじゃない。さっさとどけ。」
雪「……。」
『…………。』
アホらしい光景に2人はポカンと…紅に至っては呆れている。
『はぁ、アホ丸出しじゃん。』
永「お、紅ちゃん!!!見てくれこの肉体美を!!」
“ふんッ”と見せ付けてくる新八の鳩尾に紅は右ストレートをかました。
ドスッ
永「おぐッ!!?」
『ごめん、手滑ったぁ。』
永「棒読み!!?」
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