鴉天狗-カラステング-

□其ノ弐
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米沢城前







意を決し、門の前に立つ紅を迎えたのは門番の男達。




男「おぉ、来たか!筆頭と片倉様がお待ちだ。」



男「着いてこい、案内してやるよ。」



紅を見るや、笑みを浮かべた男達は紅を政宗と小十郎が待つ部屋へと案内する。




───…




男「筆頭、片倉様。」




政「Let it pass to the room…通せ。」



政宗の言葉に紅が部屋に入ると上座に政宗、上座の近くに小十郎、そして、政宗のちょうど正面に当たる所に紅の席が用意されていた。



紅は“何だ、この魔のトライアングルは…”と思いながらもその席に着いた。





政「昨日は世話になったな。」



『いえ、まぁ…楽しかったんで。』


ははっ、と笑う紅に政宗は上等だ、というように笑い、小十郎は少し頭を抱えた。



政「俺も久しぶりに楽しかったぜ。真田幸村以来だな。」




“久しく会ってねぇな”と小さく漏らし、紅に目をやる。





政「で、本題だ。昨日は合格だ、とは言ったが、ちいと聞かなきゃならねぇ事がある。…てめぇは何で俺の軍に入ろうと思ったんだ?」







『んー、理由は沢山あるんですけどね……
1つは部下や民からも慕われている武将だから。もう1つはそんな政宗さんの天下統一を近くで見たいから。』







小「…てめぇ、そんな事言って間者じゃねぇだろうな?」





『ははっ、違いますてぇ。伊達軍に入ろうと思った理由がもう1つあるんですけど…。』




紅はそこまで言うと徐に2人に背を向け死覇装の帯を解いた。





政「!」



小「…。」





急過ぎる紅の行動に目を見開いた二人だが、死覇装の下から現れたのものに、見惚れる。




それは立派な昇り龍の刺青だった。








『政宗さんが掲げてる竜とウチが掲げてる龍が共通してるから伊達軍に入ろうと思った。』




紅は誇らしげにそう言うと死覇装を着直して政宗と向かい合った。






紅の目は今までのふざけた目とは違いしっかりとした意志の詰まった目をしていた。





『私、四楓院紅はここ米沢城を拠点とする伊達軍に所属したい所存。私の血肉全ては政宗様の天下統一の為に。この意志はこれから先、生涯揺らぐ事の無い決意にござます。』





紅はハキハキとした口調で喋り、ゆっくりとした動作で頭を下げた。






その動作は美しく、この2人の目を魅了した。






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