剣と仕事と未来と
□入隊試験
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銀髪の少女に連れ行かれた先は、1年校舎よりもさらに奥まった場所にある少し古びた感のある会館だった。
その一室に案内されるなり先ほどここの場所を伝え忘れた金髪の少女に出迎えられたのだ。
(後で尋ねたところ、レイフォンは怖いって思っていたらしい…)
「私はニーナ・アントーク。第十七小隊の隊長を務めている」
リオバルトは部屋の中を見た。
中には隊長の他に先ほどの銀髪の少女。
寝ころんでいる身長の高い気だるげな男。
ツナギを着た男がいる。
周りを見つつも、ニーナの話を聞いていた。
「わかったか?」
「あの…」
リオバルトが尋ねた。
「まだ一年なのに、小隊に入ってしまって大丈夫なんですか? まして、俺が…」
「お前は自分を過小評価し過ぎている」
その言葉に、思わず「えっ?」と聞き返してしまった。
「いいか? 自分に自信を持て。やるかやらないからはやってみてから決めろ」
リオバルトが隊長の気迫に押され気味になったところで、レイフォンが尋ねた。
「あの、それで、僕がどうしてここに呼ばれたのですか?」
レイフォンは「リオバルトは先に説明があったようですが」と付け加えた。
あっ…名前で呼ばれた。
「ここにいる人たちがエリートだというのは、さきほどの説明で十分にわかりました。でも、だったら……だからこそ一年の僕が呼ばれる理由がわかりません」
「あっレイフォンは知らされてなかったのか、えっと…」
リオバルトが説明しようとするが、
「ぶはははははははははははははははははははは」
気だるげな男が腹を抱えて笑い出した。
隊長が男の名を大声で呼んだ。
「ぎゃはは! は〜ひぃひぃ……ああ、腹が痛い。ニーナ、おまえが悪い。もって回った言い方なんかするから、そこの新入生にとぼけられるような隙を作っちまうんだ」
そう言って、起き上がる。軽薄そうな眦(まなじり)のたれた目が二人を見下ろした。
「俺の名前はシャーニッド・エリプトン。四年だ。ここで狙撃手を担当している」
「はぁ、どうも」
「で、我らが隊長殿に代わって、単刀直入に言わせてもらうとだな、おっと、そっちのリオバルト・イグラードはもう隊長から話を聞いてるから良いとして…レイフォン・アルセイフ、お前をスカウトするために呼んだわけ」
「はっ?」