aphBL

□じゃあ、ちょっと頑張っちゃおうかな
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俺から見れば、イギリスはいつも一人だった。
いつも何も無い空をぼーっと見つめていた。
本人曰く、トモダチとやらがいつも隣に居てくれるから一人では無い。と言い張って居るが、自分が見えない物をどう信じれば良いのか、と毎回疑問を感じているがあえて口に出さない俺は相当出来た男だと思うんだけど、そこら辺どう思う?


「どうもこうも、今現に俺の隣に居るだろうが」

「わ、盗み聞き?趣味悪いなー」

「興味無い」


ずっと心の中で語りかけていたと思っていた俺の呟きは全て口に出ていて、尚且つ当の本人―…イギリスに聞かれていた。

機嫌を損ねたらしいイギリスは、一つ声のトーンを落として俺に一言、すぐそっぽを向いてしまった。
一度こうなったイギリスの機嫌を取るのは少々面倒臭い物で、無意識に重い溜息が出てしまう。


「ほら、イギリス悪かったって、林檎やるから機嫌直せ、な?」

「…林檎は貰っといてやるよ」

「可愛くねーの。

イギリスってさあ、俺が林檎とかあげてもあまり嬉しそうにしないよね、林檎嫌いなの?」

「興味無い」


本日二回目の御言葉。
興味無い、という言葉はこんなにも俺を憂鬱にさせるとは、生まれてこの方初めてだ(お兄さんショック!)


「え、じゃあ他に。他に好きな物は無いの?」

「無い。それにお前、何でそんなにしつこいんだよ」

「好きな物が無い世界なんてつまらなくないか?」

「別に」

「ふうん」


こいつは俺のよりもずっと幼いのに、なんてつまらない人生してるんだろうな、と思った。
それと同時に自分の事でも無いのに少しだけ、少しだけ悲しくなった。(え、何でおれがイギリスの事でこんな感情、)

また俺が、今度は小さな溜息をつくと、イギリスはその溜息に気が付いたのか、付け足すように一言呟いた。


「…そんなに言うなら俺に好きな物を作らせてみろよ。物でも、無機物でも、季節でも…人でも」



じゃあ、ちょっと頑張っちゃおうかな

(なーんて時代が、坊ちゃんにもあったよねえ)
(な、今更昔の話題出すなよ馬鹿ぁ!!)
(懐古主義のお前に言われたくありませーん)

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