短編

□雨を降らしたのは…
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君はいつだって、晴れた太陽よりも輝く笑顔を振り撒いていたね。


皆が皆―


君の笑顔に癒され、救われ―


好きだった…


それは僕も同じで、いつも君の笑顔に癒され、救われ…好きだった。


いつの間にか、誰にも渡したくなくて


僕だけのモノにしたくて…


でも君に届くことはなくて…


いっそ壊してしまおうかと、魔の手を差し出そうとした。


でも君に「龍二さん」と呼ばれるだけで、引っ込むんだ。


「愛してる」


たった五文字だけど言えない…


君がアイツを見ているから。


君がアイツを見つめる度に魔の手が伸びて来る。


渡したくない…


渡したくない…


ワタシタクナイ…


でもやっぱり君に届くことはなくて


だから…決心してサヨナラを告げる。


紅く染まったセカイを最期に旅立った。


その後すぐに、君に逢えた。


僕を追いかけて来たの?


君は困ったように笑った。


これは運命?


寂しそうな君を見て、運命と思う僕は…


狂ッテル―


そう、君が狂わせた。


今宵は雨が降り頻る。


雨の中、二人で踊り狂おう。


雨を降らしたのは紛れもなく…


コノ僕…


「愛シテルヨ、ミツバ…」




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