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「も…っうるさいっ、バカっ、…は…ぁんっ」
「はいはい」
スザクは入り口を慣らす為に指を差し入れた。
「…あれ、なんだか今日すごく柔らかいよ?それに…すごく絡みついてくる。…もう欲しいの?ルルーシュ」
ルルーシュはとんでもないと言わんばかりにぶんぶんと首を振った。
「…そう、いらない?」
「あっ……」
スザクが指を抜きかけると、ルルーシュは反射的に心許無い声を上げ、慌てて自分の口を手で覆った。
「…君の身体って素直だよね」
「く…っうるさいぞっ、スザ…っ!」
と、突然スザクは何の前触れも無くルルーシュに唇を押し当て、その舌を舐めた。
「………す、スザク…?」
ルルーシュは呆気に取られてスザク見つめた。
心臓がバクバク言っている。
「…いや、こうしたら君の言葉も素直になるかな、と思って…」
そう言って今度は自分の上唇をぺろりと舐めた。
「ば……っ…ばか、が…」
ルルーシュは真っ赤に染まった顔でガクリと頂垂れた。
スザクは入れた指をぐるりと掻き回す。
「ん…っ」
スザクはにやりと笑った。
「ルルーシュ、僕の…欲しい?」
「………」
数拍置いてルルーシュは小さく頷いた。
スザクはルルーシュの顔を覗き込む。
「お…お前の…、スザクの…っが、ほ……欲しい…」
聞き取れない程の小さな声でそう呟いたルルーシュの顔に、スザクは至極嬉しそうに、褒めるように幾つかキスをした。
「ほんとにキスで素直になったんだ」
…違うぞ、スザク。
ただ、…ただ俺が、お前をすごく好きなだけだ。
「たっだいまーっ!ごめーん、遅くなっちゃっ…あれー?」
空調のトラブルを解消し、再び生徒会室が充分に冷えた頃戻ってきたミレイは、そこに居るはずのルルーシュとスザクを見受けられず、唖然となる。
「あぁ…、やっぱ酷だったんスよ。そりゃ誰でも逃げたく…」
リヴァルが少し申し訳なさそうに呟いている最中、ミレイは書き置きのメモを見付ける。
「…ルルーシュが熱中症で倒れたので部屋まで連れていきます…だって。そっかぁ、確かにルルーシュの体力じゃあ倒れちゃうわよね…」
ミレイは肩をすくめてしみじみと言う。
「うわっ、会長見て下さいよこれ!!」
リァルが鬼気迫る表情で示す床を見やると、そこは大量の水でびしょびしょに濡れていた。
「これ、ルルーシュの汗じゃないすかっ!?ああああ、ルルーシュ大丈夫かな…っ」
「リヴァル、もしかしたらこれ、暑過ぎてルルーシュが溶けたやつかもよ!」
「マジっすか!!!?」
それからも、色々突拍子も無い仮説が飛び出た。
というのも、スザクがルルーシュと彼の部屋に避難する際、最低限として、かき氷機だけはきちんと片付けていったからである。
その頃、熱中症というよりは、疲労で連れられたルルーシュと、スザクは、冷房の良く利いた快適な部屋のベッドで、仲睦まじく惰眠を貪っていた。