little story

□想い月の恋 -オモイ ツキノウタ-
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他の世界に住む女の子に恋をした男の子のお話。

水晶にうつる、長い黒髪の女性に一目惚れをしました。
ガラス越しではなく、実際に会いたくて、月に住む長に一生懸命お願いをして、ある条件をのみ、
やっとの思いで彼女の居る世界へやってきました。
彼女のことは、すぐに見つけることが出来た。
ガラス越しではない、本物の彼女が目の前にいることに、とっても嬉しくて、幸せでした。

しかし…

その子は、僕がそばにいることに気付かず、
僕は存在していないかの様に、僕の身体をすりぬけて、他の人に笑顔を向けて走っていってしまった…。

折角会うことが出来たのに、こんなに近くに居るのに、話をするどころか目すらも合わせる事が出来ないなんて…。

もし奇跡が起きたら、僕の気持ちを君に届けることができますか…?



しばらく、僕は彼女のそばにいることにした。
いつもより素敵な格好をした彼女。サラサラの長い髪の毛からはとても良い香りがする。
誰かを待ってるようだけど、その人はなかなか現れない。
そんな彼女の隣に、ぼくは腰を下ろして覗き込むように様子を伺った。

時計を眺める彼女の表情はとても悲しい。
ついに、俯いている彼女の瞳から涙が零れ、頬を伝って落ちる。

彼女の悲しい思いは、僕にも辛くて悲しい。
僕は何もしてあげられない。

肩に触れようを手を伸ばしたが、やはりすり抜けてしまう。
もし奇跡が起きたら、僕がそばにいるよって、声をかけることができますか…?

もう気づいてもらえなくても、
ずっとこのまま貴女のそばに、どうかずっとそばにいられますか?

僕が本当に無になっても、
僕の想いが彼女を守れるように。

そろそろ時間切れのようだ。

もう、触れたいとか、声をかけたいとか、何も望まないから。


でも



せめて、


僕の想いが、

彼女に少しでも届いたらよかった…。

END


萃夢想
原曲「砕月」

Ricotta
アレンジ「想月の詩」

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