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□「馬鹿な!」
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「寒い」
「そうかな?俺はとっても楽しいよ!」
いや、そういう問題じゃないだろう
と心の中でツッコミを入れた。
寝癖を乱暴に手くしで直されたあと、カイルに手を引かれるがままに色んなところに連れ回された。
武器屋に雑貨屋に英雄記念館に、最後には子供が行くようなお菓子の店まで……
それで、休憩にと公園に来たのだが、恐ろしく寒い。
「ジューダス、もう疲れちゃった?俺が無理矢理連れてきたから…」
「これくらいで疲れることはない。第一、お前のわがままに付き合うのは慣れているからな。」
「うん。ごめん……」
今、こいつに耳としっぽが生えていたら間違いなく垂れ下がっているに違いないだろう。
というくらいしょんぼりしていた。
「いや、お前に謝られる筋合いはないが…」
「でも、ジューダスはいつも俺について来てくれるよね!」
えへへ、と満面の笑みを浮かべるカイル。
「フン!調子に乗るな。」
「ありがとう!ジューダス!
あのさ、もう一つだけ付き合ってほしいんだけど……」
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「つくづくお前は馬鹿なことを考える……」
「えへへ。これでとってもあったかいでしょ?」
どこに連れていかれるのかと思ったら、少しお洒落なブティックで、かなり長めの赤いロングマフラーを買った。
案の定、カイルと一緒に一つのマフラーを首に巻いている。
「あのね、マリーさんに教えてもらったんだ!
大好きな人とマフラーを巻いたらとってもあったかいんだって!
ジューダスはどう?俺はとってもあったかいけど…」
まったく、なんでも真に受けるのは関心しないが
「ああ。すごくあったかいな。」
そう言った時のカイルの笑顔は今までで一番輝いていた。
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