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□保健室の先生
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「ふう………」



(なかなか終わらないな………)







この高校では、一ヶ月に一回、保健だよりを出すことが決まっている。


俺は昔から、絵を描いたり文章を作ったりするのが苦手で、この時期になると残業が多くなる。


少し薄暗い夕方の時間帯には、必ずと言っていいほど保健室にやってくる生徒がいる。






「セネル先生!!今日も残業?」



勢いよく開かれた扉から入ってきたのは、2-Bのカイル・デュナミスだ。


ぱっと見は、金髪なので最初は不良なのかと思っていたが、地毛らしい。





「ああ、そうだ。あと、ドアはもう少し静かに開けてくれ。びっくりするから。」


「えへへ。ごめんなさ〜い。」











夏休みの時に、部活中に日射病で倒れたカイルを看病して以来、なんだか懐かれてしまって、部活が終わるとよくここに来るようになった。



「先生、またこれ作ってるの?」



ノートパソコンで文章を打っていると、いつも隣にきて画面を覗かれる。




「まだ見るなよ……プリント作ってるんだから。」

「先生の保健だよりっておもしろいよね!たまに漢字があべこべになってたりするけど。」

「う、うるさい!余計なお世話だ!
それよりお前、この間の期末テストはできたのか?」


ギクッ!

というような音が聞こえそうなくらい動揺しているのが見てとれた。



「もう〜先生言わないでよ!忘れようとしてたのに。」


案の定、結果は悪かったみたいだ。






「数学の補習が嫌だから部活してたんだ。」

「おいおい……それじゃ俺が怒られるじゃないか。」

「いいのいいの!それよりさ!先生、もうすぐ帰る?」

「まあ、これが終わったらな。」
「じゃあさ!駅まで一緒に帰ろうよ!俺、今日はいっぱいシュート決めたんだよ!」









あーあ



完全にこいつのペースだ。



でも、どこか憎めないのはなんでだろう。
















次はあとがきです*
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