Νovel
□SIGNAL
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昔々―――…
全ての大陸は一つだった
だが神に愛され、その加護を持つ一族ラグス帝国と軍事国家バルスブルグ帝国が大陸を巡り戦争をした
沢山の人、動物、草木が死滅した。神はこのままだと全てが死滅するそれを嘆いた…
その嘆きこそが大地を7つに分けた…と言われている。
〜SIGNAL〜
〇〇〇〇
「ん〜…涼しいなぁ」
日中は暑い日々。夜になれば幾分涼しくなる。その日テイトは屋敷からあまり出ないのに何故か今日は夜の散歩をしたい…いやしなくてはと思い…屋敷近付にある大きな噴水公園内を歩いていた時の事だった…
風に漂って血の匂いがする。何処からだ?とテイトは思い辺りを見渡せば、すぐ側の草木に倒れ込むように男の人がいる
左肩から腕にかけてとめどなく血が溢れ滴り落ちる。どうやら銃で撃たれたようだ
テイトはそれを見てビックリし直ぐさま自分が持っていたハンカチやら洋服を破り止血する
心配そうな翡翠の瞳が覗く
「大丈夫ですか!?」
「…ぐっ…俺に触るなっ!」
「わっ!」
右手で跳ね退けられるがこのまま見捨てる事もテイトにはできなくて大の大人をテイトは担ぐ
「…お前っ…何を」
「…怪我をしている人を見捨てる事は出来ない…」
よいしょっと担ぎ込み進む。大男も何も言わずテイトに連れられて行った
それが全ての始まりだった―――…
〇〇〇〇
「これで大丈夫でしょう…ただ痛みにより熱が下がらない限りにはまだ安全とは言えないから気をつける事…」
「はい先生ありがとうございます」
テイトは屋敷に連れ帰り直ぐに医者を呼び男の手当をした
銃で撃たれた傷のせいで目の前にいる男は熱で唸されている。額には汗が流れる
テイトは氷水を用意し男性の頭に冷たいタオルを置く
男性の熱が下がるまで…次の昼までテイトは寝ずに看病し続けた
太陽は傾き掛けた頃身体が重たいなと男は目を醒ます
目覚めて少し身体が動くと激痛が走る
だがその激痛よりも目の前の少女がぐっすりとベットに肘をついて寝ているのを見ていた
(そういえば意識が薄れる中確かグリーンアイの瞳をした少女が声を掛けて気がする。そう…こんな風貌だったような…どうやら俺を助けてくれたようだな)
じぃっと眠る少女を見つめてみる
どうも寝ずに看病してくれていたみたいで起きる気もしなさそうなのでどうしたもんかと考える
まだ銃で撃たれた部分が深かったらしくどうやら当分は安静にしなきゃならないらしい
(っち…今回はドジっちまったな…これじゃ当分あいつらの元にも戻れないな…)
どうしようかなぁーなどと考えていると急に目の前のに眠る少女が唸ったのでそちらに目を向けると
「ん〜!」
完全に目を醒ましたらしく目を丸くし男に尋ねた
「痛み…大丈夫か?」
「…あ…あぁ。大丈夫だ。お前が…助けてくれたのか?」
「…まぁな…」
目の前の少女は自分の額に手を置き大の男の額に手を置き頷く
「うん…熱は下がったみたいだな…お腹空いたろう?今食事持ってくるから待ってろ」
と立ち上がり颯爽に去る
「…不思議な奴…」
今まで誰にも助けられた事も無かった。だが今いた少女は見知らぬ自分を助けた。…助けて貰ったのは助かるのだが
危機感とかない少女なのだろうか?と思った
〇〇〇〇
「お待たせ…まだしっかり食べれ無いだろうからお粥にしてみた…」
少し熱そうなお粥だから待ってろ〜と少女は言い目の前でフゥッーフゥッーと息を掛ける
「…これですこしは冷めただろうから…はいあーんして」
男は言われた通りに口を開く
普段なら恥ずかしくて逃げたりするのだが目の前の少女にされて自然と口が開いた
「…そうそう俺の名前はテイト・クラインだ。お前は?」
「俺は…フラウだ…あの…クライン、さん助けてくれて、ありがとう」
何歳か下の少女に丁寧に礼を延べる
「…いいよ…そんな改まらなくて。テイトで良い。そのかわり俺もフラウと呼ばせてもらうよ。とにかくフラウ…傷口がまだ悪いから良くなるまで此処に居るといいよ」
「…いいのか?そんなに世話になっちまって…」
「良いよ。どうせこの屋敷には俺と数人のメイドさんしか居ないから」とテイトは小さく笑う
この屋敷に見知らぬ客人が入るのは珍しいのだ…ともテイトは話した
「…わりぃな…」
「いいよ。俺が好きでそうしてるから。とにかく治るまでは此処がフラウお前の家だから好きに使ってくれ。まぁ安静にしてなきゃいけないんだけどな」
テイトはそう言う
窓辺から見えるのは敷地には花や草木が綺麗に生い茂っている。屋敷から離れた所に住宅やら家が見える。かなりここは敷地が広い
どうやらテイトは何処かの令嬢なのでは?とフラウは思った